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2005年01月28日

「ボクが取材したスゴイ奴」 - 連載(5)-

吉田豪
大物シリーズ5 真実を語る男編の巻

 前回、原稿チェックにまつわるギャンブラー・坂上忍の男らしいエピソードを紹介したばかりだというのに、最近もまたもやある人の原稿チェックで酷い目に遭ってしまった。
 いや、しつこいようだけど原稿チェックというシステム自体は非常に重要であり、何年か前まで芸能界やプロレス界に原稿チェックが存在しなかったからといって「昔は良かった」などと主張するつもりは一切ない。結局、現場でどれだけ刺激的なことを言ったとしても、馴れ合いに近い仲間意識があったから勝手に書き手が自粛していただけのことだし。
 よく、こういう仕事をしていると「有名人と仲良くなれてうらやましい」と言われたりもするし、実際にずっと大好きだった有名人と仲良くなるためにこっちの世界に入ってくる人もいるようなんだが、ボクに関していえば実際に取材相手と仲良くなることなんてほとんどない。……というか、意識的に仲良くならないようにしていると言っていいだろう。
 ボクは常に相手のことを徹底調査し、相手のグッズなどを大量に持参して取材することで相手の懐に飛び込むんだが、それは別に仲良くなろうとしているわけではない。「敵ではない」ことをアピールしているだけのことである。だからと言って味方だと思われたら原稿に書けないことが多くなるので、「敵でも味方でもない」ポジションをいかにキープするのか。今度はそれが重要になってくるのだ。
 ある程度の信頼関係を築き上げて物騒な話を切り出せそうな流れを作り、それでいてどんな話でもギリギリまで原稿にする。相手がどれだけ物騒な話をしても「ダハハハハ!」とボクが笑い飛ばすのはそのためであり、こっちがそこで引いたらそれは「載せられないぐらいヤバい話」って認識になるだろうけど、どれだけ物騒な話でもこっちが大笑いしたなら「笑い話」に昇華されるわけなのだから。
 まあ、そんなインタビューの技術論はどうでもいい。問題は、ボクが先日取材した元チェッカーズの鶴久政治氏(以下マサハル)だ。
 このときも、いつものように大量のチェッカーズ関連本を持参して根掘り葉掘り聞いたら「すごいファンだよねえ。ここまで調べられたのは20年間でも初めてだよ!」と大絶賛され、非常に楽しく取材させていただいた。
 もちろん、そこで聞いた話はほとんど原稿にしたんだが、なぜか事務所のチェックを経たら文字数が半分ぐらいに減っていて、なおかつ後半は言ってもいない発言のオンパレードになっていたわけなのだ! なんだよ、それ! 冒頭の「今日はなんでも聞いてください!」というマサハルの発言も削っていたのは笑えたけど、これはあまりにも酷すぎ!
 思えば過去に同じ事務所の高杢禎彦氏(以下モク)を取材したときも原稿チェックで大幅に発言をカットされてしまったんだが、今回はそれどころじゃない。……というか、モクにしても著書では相当エグいことを書いてるのに、なんでインタビューだと過激な発言を削るんだ? もしイメージを良くしたいんだったら、本の出版自体を止めるべきだよ!
 マサハルにしても、イベントでは「高杢氏は事務所が同じだから会見で一緒に並んだだけ」「暴露本を書いたのは僕じゃない、僕は確執はないです」「高杢氏の本も読んでない。もし読んだら、一番怒るのは僕かもしれない」などと公言しているのに、なんで当たり障りのないインタビューにしようとするのか?こうした方がイメージアップになると考えているのかもしれないが、それじゃ「つまらない人」だと思われるだけでしかないって! 
 モクに対する批判的な発言を載せたらマズいと判断する気持ちは、わからないでもない。だけど、あれだけ盛り上がった会話を「こういう質問は本人ではないので答えようがありません。ただし、高杢氏にはそういう周りを心配する暖かい気持ちがあるということは僕はわかります」なんて捏造コメントにすり替えてどうする? どこかに依頼されたわけでもないのに高杢に続いてチェッカーズ時代を振り返る原稿を書き始めたマサハルを「本を出しましょうよ!」と煽り、「やりますか、なんちゃって暴露本!」(マサハル)「タイトルは『チェッカーズ』に続いて、『もっと! チェッカーズ』とかで(笑)」(筆者)「それいいねえ!」(マサハル)って感じで盛り上がった部分を、「まだそういう風な話はここでは言えません。確実になっていないのですから」の一言で終わらせてどうする? 最悪だよ!
 しかもチェッカーズ解散後、「(クロベエから)連絡が来なくなったのは、(マサハルが紹介した)仕事を辞めて言い出しづらかったってことですかね」というボクの質問に、「いや、電話が止まってたの(笑)」(マサハル)「あ、それだけのことですか(笑)」(筆者)と答える呑気なやり取りを、前後はそのままにして「それは、わかりませんね」に直したりする。このチェック原稿を使わなければ記事は載せさせないと事務所が言ってきたわけである。

当然、ボクは「このままじゃ自分の原稿として出すわけにはいかない」と編集サイドに申し出て、とりあえず後半の「覚えてません」といった現場では言ってもいない消極的なフレーズが連発されて盛り下がるブロックを全部カットした上で、「事務所サイドの原稿チェックによって不本意な状態で誌面に出ることになりました。読者の方々にお詫びします」という一文を最後に添えることにした、と。
 そして「原稿チェックの直しだけを事務所に戻して、この詫び文はくれぐれも向こうには見せないで、誌面に掲載するように」と編集者に念を押しておいたら、「すいません! ついボーッとしてて詫び文も一緒に送っちゃいました!」とのことで、さらに大変なことになっちゃったってわけなのである。結局、詫び文まで原稿チェックされちゃったよ!

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チェッカーズ内部の確執が表沙汰になるきっかけとなった高杢氏による“暴露本”(著者曰く、「これはボウロ本じゃない!」とのこと)と、前作以上に破壊力抜群な著書第2弾。とにかく騙されたと思って読んで欲しい一冊である。前作同様、感情移入は一切出来ないとはいえ、これは面白すぎだって!

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「MASAHARU TSURUKU 1990 CONCERT TOUR『TIMELY』」のツアーパンフは、ハードカバーの絵本スタイル。本文イラストを寺田克也が手掛けているから、そっち系のファンも買うべき一冊だ。寺田克也調のマサハルが渋い!

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末期チェッカーズの迷走ぶりが伝わる90年のツアーパンフ。完全に写真集でしかない本の作りはいいんだが、この衣装はないよ! クロベエのチャンピオンベルトも、フミヤ&タカモクのサングラスも趣味悪いなんてもんじゃないって!

投稿者 davinci_blue : 12:41