大槻ケンヂ、浅草キッド(水道橋博士、玉袋筋太郎)、掟ポルシェ、吉田豪・・・なんとも濃〜い4人が「笑えるオタク道」を連載!名づけて4ちゃんねる。マイブームなこと、超個人的な話、人前ではなかなか話せない恥ずかしい話やウワサ話などなど、5人がそれぞれの独特のアンテナをフル稼働し、書いて書いて書きまくります!乞うご期待!笑えるよ。

2005年04月08日

「ボクが取材したスゴイ奴」 - 連載(7)-


吉田豪
大物シリーズ7 空手ダコを持つ男編の巻

  ここ1年ぐらいボクはタレント本書評家として『ストリーム』というTBSラジオの番組に生出演し、テレビではまずできない話ばかりしているんだが、最近はその流れでラジオ用のインタビュー仕事もやるようになった。
 まずはイエローキャブ分裂騒動の真っ直中に野田社長をインタビューし、若き日に歌舞伎町で暴れ回っていた頃の武勇伝(ジャズ喫茶の店長時代、アイスピック片手に外人兵とバトルしたりとか)と、そしてクリスタル映像の「ナイスですね!」村西とおると組んで水着ビデオを作っていた頃の話を直撃!
 すると、野田社長はちょうど喋りにくいことばかり聞かれている時期だったせいかすっかり止まらなくなって、「巨乳の元祖は松坂季実子だよ!」といったコアなAV談議へと発展!
 そして今度は、あの杉田かおるの話を聞けることになったわけである。現在、ボクが鋭意製作中のインタビュー集『元アイドル。』(ワニマガジン社より発売予定)に出てもらいたくてオファーを出したところ多忙のためNGが出た直後だったから、これはラッキー! しかも、このインタビューを単行本に再録するOKも出たんだから、いちいち最高だよ!
 しかし、だ。この取材は彼女がTBS内の仕事と仕事の間にちょっと時間が空いたから、新刊『杉田』(小学館)と舞台の告知ができれば、とのことで組まれたものの、『杉田』を読んでみたらえらい強烈な本だったのである!
 過去の自伝『すれっからし』(99年/小学館)が、酒と喧嘩と男と借金についてとことん語る素晴らしい本だった以上、もうネタは残ってないだろうから今度は緩いタレント本になると思ってボクは全く期待していなかった。表紙がピンク色で帯に「愛する人に支えられて再生する私」と書いてあるから、どうせ幸せな結婚報告の本に決まっているはず、と。
 ところが、『すれっからし』で「私がある宗教団体の広告塔だったこの頃のことは、いつかまた違う形で振り返るときがあると思う」と書かれていた、その部分だけにスポットライトを当てるという、確実に放送対応できない本だったのだ! リンダも困っちゃうよ!
 そのためなのだろう。テレビなどでこの本の宣伝をするときは本の中身に一切触れることなく、巻末にちょっとだけ書かれているマラソン&結婚話に触れる程度なのが面白かったので、ボクは「この本がいかに危険なのか?」をテーマに取材することにしてみた。
 すると衝撃の事実が次々と発覚! 彼女が結婚で騒がれたとき、右往左往するとワイドショーにナメられちゃうのでじっとしてたら、いい気になってワイドショーがガンガンやったり勝手に映像を使ったりしてたんだけど、この『杉田』を出したらピタッと止まって何も扱わなくなった、と。つまり、これは彼女なりのマスコミ対策だったわけである!
「テレビには規制も多いので、一番自分を表現できるのは出版なんですよね。自分としてはこの『杉田』を出したいためにバラエティーやってきたみたいなところもあるので。『すれっからし』は6年越しの伏線だったんですよ」
 伏線といえば『すれっからし』で「信頼していた人に実印を持ち出されて、よくわからないうちに保証人にされて一夜明けたら1億円の借金をかぶっていた」と書かれていた、その「信頼していた人」というのがまさか父親のことだとは誰も想像できなかったはず。
「あれは『スターウォーズ』をイメージしてたんですよ。実はダースベーダーはお父さんだったじゃないですか。そのショックみたいな」
 誰も気付かないよ、そんなこと!
 そして今度は生島ヒロシ取材が決定したのである。テーマはデビュー当時の失敗談とのことだが、そんなのはどうだっていい。ボクが興味あるの空手家としての生島ヒロシだ!
 総合格闘技の元祖と言っていい、顔面打撃も投げも関節技も認める空手流派・大道塾の東孝塾長と高校のクラスメートだったことや、学生運動に挫折したとき空手同好会の先生から「アメリカに行って武道を広めよう」と言われて渡米し、ショー・コスギと共に空手ショーをやっていたことなどで知られる彼氏。
 しかし、彼が渡米するきっかけになったのが、表紙だけでも奇跡を感じる松方弘樹の実弟・目黒祐樹の著書『モーレツ野郎IN AMERICA』(69年/日芸出版)だったという事実は、あまり知られていないことだろう。
「留学に関する本も読みあさった。中でも、なぜか俳優の目黒祐樹さんの体験が印象的だった。目黒さんは、確かどこか日本人の少ない町に留学。空手の茶帯を持っていたので、アメリカ人に空手を教えたりして、モテモテになった、という一節にとくに気をひかれた。単純なボクは『オレも空手のキャリアは十分だから、やれるな』とニンマリした」
 なお、目黒祐樹はというとミッキー安川の『ふうらい坊留学記』(60年/光文社)に衝撃を受けて渡米。帰国後、ミッキー安川に会ったら、「もう、いい加減な本だぜ。作り話もあるしよ」と言われてしまい、生島ヒロシからは「目黒さんの本を読んでアメリカに行ったんだけど、全然違いましたよ!」とボヤかれてしまったのこと(以上、全て目黒祐樹情報)。
 ちょっと話を戻そう。いまネットで「生島ヒロシ」「空手」で検索すると、アメリカ在住の「ブルース・リー、スティーブン・セガール、チャック・ノリス、ショー・コスギ、生島ヒロシも教えた日本人空手家」のインタビューが引っ掛かるはず。そこには「先生は生徒に武道家として、体力的、精神的に強くなるだけではなく、人間として大切なことを道場で教えている」「先生の元にはアクションスターになりたいという若者が全米から集まり、彼らの生活の面倒までみる」などと書かれているんだが、直弟子のはずの生島ヒロシはこの先生について著書でこう書いていたのだ。
「ボクにとって大変なのは、ランチタイムになると先生が黙って消えてしまうことだった。(略)そして食事が終わったころに戻ってきてワザとらしく、『メシは食ったか?』だって。モー、いい加減にしてもらいたい。所持金も30ドルしかないのですよ。先生はこれを知っててやるんだからタマラない。また夜は夜で、先生はボクに安物しか食わせてくれない。高いものを注文するとキラリと眼が光る」
 空手ショーと空手道場での稽古を請け負ったのにノーギャラで、住むところは道場だし、食事はこの調子。こうして朝がドーナツ、夜はマクドナルドという早すぎた『スーパーサイズ・ミー』状態になり、周りのスタッフには「とにかくビタ一文だしたくない先生だからね。君も大変な人についたもんだ」と他のスタッフに言われていたそうなのである。
「日一日とたつにつれ、H先生の行動と、いってることのギャップが大きくなってくるのがわかってきた。先生は金がないビンボーなのかというと、とんでもない。当時36歳、独身。トレーニングジム、サウナ、プール、テニスコート付きの高級マンションに住んでいたくらいだ。それなのに、趣味はなんとお金のアイロンがけ。ヤマト魂の武道家もアメリカに渡ってお金の亡者と化してしまったのかな。清く、正しく、美しく、宝塚とはいわないまでも、最低、いったことは守るフェアプレー精神だけはほしかったですね」
 今回のインタビューではそんな話についても聞くつもりだったのに、話はなぜか武勇伝方面へと移行。著書でも「当時のボクは『前蹴りの生島』の異名を持つほどの空手小僧」「ボクの拳には、当時空手ダコがあって、空手を知っている者は、この拳を見て後ずさりするほどだった」などと書かれていたが、とにかくカチンと来たら「果たし合いだ!」と勝負を挑むから、アナウンサーになってからも各地で正義の拳を振るってきたようなのだ。
「和田アキ子さんでも矢沢永吉さんでも誰でもそうなんですけど、誰かと合うときにはまず『この人はどれぐらいの強さなんだろう』って判断しようとしちゃうんですよね。動物園に行っても、猛獣を見るとそう考えたりして」
 これこそ、まさに『大山カラテ もし戦わば』(79年/池田書店)! 彼は完全に梶原一騎先生や大山倍達総裁の世界の住人……と思ったら、格闘技&梶原一騎ファンにはわかってもらえる衝撃の事実が、これまた発覚!
「実はボク、アメリカで空手をやってた時代にオリンピック・オーデトリアムでベニー・ユキーデと試合をする話があったんですよね」
 なんと、梶原一騎先生の『四角いジャングル』(78年/講談社)でお馴染み、「軍隊で使われている地上最悪の殺人格闘技」こと全米プロ空手の大スター、ベニーとの試合をオファーされていたわけなのである!「間に入った人が断っちゃったって最近聞いたんですけど、できることならやりたかったですよ」と寂しげにつぶやく彼の顔は、ボクが見た限りいまでも格闘家としてのそれであった。できることなら草野仁との試合(もちろん打撃あり。できれば大道塾ルール)が見たい!


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文庫のみのリリースだったので本屋で発見できなかった人も多いかもしれない、『すれっからし』。 バラエティ番組における杉田かおるのキャラを決定付けた一冊であり、そんな番組のネタ本でもあるんだが、地上波ではとても使えないネタも多いので必読! ホント最高!

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『すれっからし』のダークサイドというか、なぜ彼女が『すれっからし』になったのかについて全て暴く、とことん物騒な本『杉田』。 この本の中で批判されている宗教団体所属の女性タレントの著書と本屋で普通に並んで平積みされていたのも奇跡的な光景でした。南無!

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「この本、ボクも持ってないですよ!」(生島ヒロシ)という、伝説の目黒祐樹本。 裏表紙の推薦文は石原裕次郎と三船敏郎! ボクは2冊持っていましたが、目黒さん本人も一冊しか持ってないと言われたので、著者にダブリを一冊プレゼントしてみました。

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宜保愛子似の風貌からは想像も付かないが、圧倒的な強さを誇ったベニー・ユキーデ。 当時、日本では『週刊少年マガジン』の表紙&巻頭グラビアに登場したり、レコード『ベニー・ユキーデのテーマ』が発売されたり、『リングの怪鳥ユキーデ』という漫画の主人公になったりするぐらいの人気で、あの橋本真也も ベニーに憧れて試合コスチュームをパンタロンにしたとのこと。ジャッキー・チェンと映画『スパルタンX』で闘ったことでも有名である。

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ファイティングポーズは伊達じゃない! 空手黒帯なだけあって笑顔ながらまったく隙のない構えの生島さんと、極真Tシャツ着用(拳のせいでマークが見えないのが残念)ながら格闘技経験がないのがハッキリわかるボク。

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ボクの生島ヒロシ本コレクションを何冊か手に持ってのツーショット。 生島さんの空手家時代やアメリカ時代について知りたいなら、『まぜごはんプリーズ。』(85年/アルク)と『後輩への説教』(91年/講談社)がオススメ。なお、生島さんのインタビューは来週月曜日に放送されます! 「平日の昼2時にラジオなんて聞けるわけねえだろ!」という人も、24時間限定でネット配信されてるので問題なし!(http://www.tbs.co.jp/radio/st/)

投稿者 davinci_blue : 15:02