こんにちは。なんだか毎号編集後記を書いている気がする編集K・Hです。しかも毎回、このページ担当の新人Mくんに厳しく督促されております。さっきも午前2時に催促の電話がかかってきました……。ごめん……。というわけで今は真夜中。はからずも怪談特集の編集後記を書くのに最適な時間帯と相成りました。ひゅーどろどろ(ちょっと違う)。
 6月に、ダ・ヴィンチ増刊・本邦初の怪談専門誌『幽』が創刊されました。そこで、ダ・ヴィンチ本誌でも、『幽』特集ページをご用意。『幽』にご執筆いただいた作家の皆様のご協力を得て、『幽』と二本立て(?)で、「怪談」の魅力をお伝えしています。
 さて、『幽』といえば、「怪談」。しかし、私は霊感ゼロのうえに、大変な怖がり。できれば一生、怖そうなものから、できるだけ離れていたい……と、常々思っています。なので、特集の担当になったときは正直、ひゃー、どーしよー、とあせりました。しかし、よく考えてみると、今回『幽』でも、ダ・ヴィンチ本誌でも大きく取り上げた小泉八雲の『怪談』は、昔からの愛読書のひとつ。怖い話はダメだけど、文芸としての「怪談」は昔から大好きだったような気が……。そうか、それなら、と思い、『幽』はもちろん、特集で紹介した本なども先入観を持たずに、いろいろと読んでみました。もともと「怪談」は、怖い話を語り口や構成のおもしろさで読ませる、上質なエンターテインメントと云われています。頭では分かっていたのですが、多彩な「怪談」をじっくりとまとめて読んでみて、なるほど、これはおもしろい、と遅まきながらやっとその魅力を実感できた気がしました。怖い話が苦手な私のような方も、そういう話はだめなの〜、と一刀両断せず、ダ・ヴィンチの特集も、『幽』もぜひ読んでみてほしいです。
 話は変わりますが、みなさんは不思議な体験をしたことがありますか? 私は一度だけあります。それは高校生のころ、朝起きて、低血圧のぼーっとした状態のまま、2階の自分の部屋から出て、階段を下りていたときのこと。階段は大人二人がすれ違うのがやっとの狭さで、両側は壁。中ほどまできたとき、左の耳元でいきなり女の子の声がしたのです。
 「おはよう!」
 鈴を転がした、ってこういう声かも? と思うような、かわいくて涼やかな声でした。ちょっと楽しそうな感じで。
 一瞬で覚醒した私は、いちおうまわりを見回しましたが、もちろん、階段には私しかいません。それに本当は確認しなくても、自分が不思議な体験をしたことは分かっていました……その声は、家族の誰の声でもなかったので。
 あまりにさわやかな声だったので、どうも悪いものには思えず、「聞こえるはずのない声が聞こえた」ことにはちょっとゾッしましたが、「聞こえた声そのもの」はちっとも怖くなかったです。妖精のいたずら? という感じで、むしろほほえましい気すら……。
 大人になって、怪談話になると、他にネタがないためこの話をするのですが、やはり怪談としては成立せず、むしろ「妖精と話をした人」という不思議ちゃんにカテゴライズされる不本意な結果に終わるので、最近は話をするのを控えていましたが、怪談特集を担当した記念に書いてみました。ほんとうに、なんだったのかなあ……?
 それでは、次号の編集後記まで、みなさまお元気で夏を乗り切ってくださいませ。「怪談」で涼しい気分になりながら……。


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