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2005年03月05日

『もし“昔の恋”に戻れるなら、どうしますか?』番外編

編集/M・H

「もし、昔の恋に戻れるとしたら、Hさんは昔の恋と今の恋、どちらを選ぶ?」 ライターFさんと “昔の恋”特集の打ち合わせをしていたところ、このような質問を投げかけられた。 私「う〜ん、選べないな〜。今、恋してないし〜。あははー!」 Fさん「そっかー。うふふ♪」 まったく笑っている場合ではない。 隣の席の進行Yさんにこのやり取りを話したところ、「30歳目前独身子ナシ負け気味女」の汚名を頂戴した。  どうやら私は、“昔の恋”など振り返っていられるか! とばかりに日々を過ごすうちに、今に恋を迎えることすら忘れてしまったようである。このような姿勢では、未来の恋の訪れも期待薄だ。 いい機会である。恋を忘れた負け気味女に、いきなり新たな恋を見つけろというのはハードルが高い。まずは血中恋愛濃度を上げるべく、“昔の恋”を振り返ってみることにした。
  手始めに、“昔の恋”をテーマにしてロングセラーになっている小説『love history』を読んでみた。(本誌5月号から「love history 読み切り短篇(仮)」が連載開始予定。WEBダ・ヴィンチでは、あなたの“昔の恋”のエピソードを募集中です!)最初は「明日は結婚式なんだから、うろちょろしないでとっとと今の恋人のところに帰りやがれ!」とヒロインを罵りながら読んでいた私も、中盤以降、すっかりヒロイン由希子に感情移入。いつしか作中の昔の恋人と今の恋人の間で揺れまくり、あげく自分の過去の恋を思い出して、私だったら……と真剣に悩みだす始末。 血中恋愛濃度の低い負け気味女を、一瞬にして恋に悩む女(あくまでバーチャル)に変えてしまった『love history』の著者・西田俊也とは一体何者なのか!?
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どちらかというと、触れなば落ちんといった風情で保護欲をそそる少年のようなイメージを抱いていたのだが、取材当日、さっそうと現れた西田さんは、気さくなお兄さんといった雰囲気の方で、関西弁と軽妙なトークで初対面の私たちの緊張を一瞬にしてほぐし、場を盛り上げて下さった。 話も非常に面白く、また、納得させられることが多くあった。西田さんは、自身の恋という土俵において、少年期の葛藤や青年期の苦悩とも向き合いながら経験を重ねる中で、内からの気づきによって成熟した恋愛観を獲得したのであろうと思われる、素敵な大人の男性だった。 つたない過去の恋の履歴から半端な恋愛諦観を抱きつつあった、私とライターFさんの独身女子二人は雷に打たれた。 取材後、「これからは魔が差したと言うのはやめよう!」「ストーリーじゃなくてヒストリーよね!」と、西田語録を繰り出しつつ(詳しくはダ・ヴィンチ4月号70ページをご覧下さい)反省ミーティング。

 これは重症だ。こんなことでは甘く切ない恋などできるわけがない。 私の過去の恋の遍歴に問題があったのか。そもそも恋に向き合う私の姿勢が非常に屈折したものなのか。もうすぐ30歳、そろそろ不毛な恋に酔いしれるには、精神的にも体力的にもふんばりがきかなくなってきた。本物の幸せをゲットすべく、奥深く封印してきた自身の過去とがっぷりよつで向き合う必要がありそうだ。
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ということで、過去と現在、そして記憶の構造を探るべく、『無痛文明論』でも知られる生命学者の森岡正博さん(Y編集長は森岡さんの大ファン)に話を伺うことにした。 取材のために大阪へと向かう日の朝、乗車予定の新幹線が発進した3分後に起床。Fさんを驚愕させた私は、ここ数年で類をみないほどのパニックに陥りつつも、綱渡りの移動で取材時間滑り込みセーフという大冒険の末、森岡さんにお会いすることができた。(この後遺症でしばらくの間、毎朝、起床の度に激しく狼狽した。当然である。深く反省したい) 森岡さんは笑顔の素敵な穏やかな方で、取材というより楽しい授業を受けている気分だった。森岡さんの最新作『感じない男』(本書の感想は、森岡正博さんの生命学ホームページまでお寄せ下さい。http://www.lifestudies.org/jp)の感想を熱く語るとともに、次々と質問を浴びせ、ついには人生相談の雰囲気を滲ませるほど取材が長時間にわたってしまった(迷惑である。これまた反省したい)。森岡先生のような先生がたくさんいるといいなと思いつつ、清々しい気分で東京へ。

今回の取材でお会いした西田俊也さんと森岡正博さんは、どちらも素敵な大人の男性で、「30歳目前独身子ナシ負け気味女」のハートをゆっくりと融かして下さった。お二人のお話を伺いながら、自分自身の“昔の恋”と向き合った私に、穏やかな春の日差しのごとく甘やかな恋の日々が訪れる日は近い!

投稿者 davinci_blue : 2005年03月05日 20:31