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2005年03月05日
本を閉じても涙が止まらない……心に残る「別れ」の本
家族、友人、恋人……。ともに時間を共有したかけがえのない存在との”別れ”は、文学の永遠のテーマ。別れの数だけ、物語があるのだ。あなたの涙腺を刺激し、心に深く刻まれた別れが描かれた物語は?<有効回答数>1062票
1位 『センセイの鞄』 川上弘美 文春文庫
85票

おじいさんと呼ばれる年齢になった「センセイ」とかつての教え子であるツキコ。淡々と濃密な恋の日々が過ぎ、やがて、ツキコの手元に遺されたものは……。遠からず来るであろう別れを予感し、受け入れ、抱きしめる主人公のあり方が、共感を呼ぶ。
●年上と付き合うということがこんなにも切ないのだなぁと実感。(21・男・大学生)
●死に分かれても、残された者は、愛しい人を心に囲い、自然に生きていくこともできるのだろうと思った(29・女・会社員)
●全編に最後に来る別れの予感が通奏低音のように流れている(38・女・公務員)
2位 『ノルウェイの森』 村上春樹 講談社文庫
82票

大学生の「僕」は、自殺した親友の恋人・直子と再会。同級生の緑に惹かれながらも、壊れかけた心を抱いて懸命に生を紡ごうとする直子に寄り添う「僕」。だが、直子は……別れによる深い喪失を描ききった村上青春文学の金字塔。
●自分が別れを経験したような深い喪失感で、読後しばらく何も手につかなかった(23・女・自営業)
●恋愛という形式における別れの一番悲しいものはやはり、死による別離でしょう(24・男・大学生)
●とにかく、別れに満ちた小説という印象(32・女・会社員)
3位 『秘密』 東野圭吾 文春文庫
79票

妻と小学生の娘が事故に。意識を取り戻した娘の体に宿っていたのは死んだはずの妻だった。主人公と彼女との奇妙だが愛に溢れた秘密の日々。だが、運命は、さらなる別れを……。そのラストに、多くの読者が驚愕、そして、涙したミステリー。
●大好きな人と2度も別れるなんて、想像もしたくないほど悲しい。本を読んで号泣したのは初めてかも(29・女・会社員)
●愛するが故に別れを選ばなければならなかったラストが切なくて涙が止まらなかった(42・女・主婦)
4位 『世界の中心で、愛をさけぶ』 片山恭一 小学館
64票

「朝、目が覚めると泣いていた」。中学校時代に出逢い、心から愛したアキを病魔が襲う。彼女は、やがて……。世界で一番好きな人との永遠の別れを真正面から描ききり、年齢、性別を超えて感涙の輪を広げたベストセラー。映画も話題に。
●単なる恋愛のピリオドでなく、「死」という別れだと、一生忘れられない気がします(29・女・主婦)
●恋人を失った主人公の身を切られるような切なさがすごく伝わってくる作品(19・女・高校生)
5位 『BANANA FISH』 吉田秋生 小学館漫画文庫
56票

IQ180を超すストリートキッズ、アッシュ。麻薬をめぐる暗黒街のボスとの闘いの日々の中で出会ったのは、純朴な日本人青年・英二だった……。二人の友情、そして、その別れは、読者の心に深く刻み込まれ、いつまでも色あせることはない。
●エイジはアッシュとの別れで、自身の少年時代と、魂の一部とも別れたのだと思う(31・女・会社員)
●言葉を交わさず永遠の別れになったけれど、心は交換されたと思う(30・女・会社員)
6位 『いま、会いにゆきます』 市川拓司 小学館
55票

妻に先立たれ、息子を育てながら不器用に生きる巧の目の前に、雨の日、一人の女性が突然現れた。それは、生前の約束を守って現れた妻・澪だった。かえがえのない存在との別れの痛みと、それを超えて輝き続ける愛を謳いあげ、超ベストセラーに。
●悲しいだけが別れじゃない。そのぬくもりにしっかり触れました(24・男・会社員)
●いつかは訪れる別れを知りながらも幸せに暮らす親子の物語にとにかく泣けます(20・女・大学生)
7位 『ムーンライト・シャドウ』 よしもとばなな 朝日出版社
47票

――戻ってきてほしい、と思う。せめて、ちゃんとお別れを言いたかった――恋人を事故で亡くしたさつき。川べりで出会った不思議な女性は、彼女の願いをかなえてくれるのか? 別れの喪失感に苦しむ主人公が未来へと歩み出すまでを描く。
●愛する人のために、主人公が「再生」しようとするのが泣けた(23・女・自営業)
●手を振るという行為がこんなに切なくて愛しい行為なんだと知り、誰かに手を振るたびに思い出す(21・女・大学生)
8位 『西の魔女が死んだ』 梨木香歩 新潮文庫
43票

中学に進んでまもなく不登校になった少女と西の魔女こと祖母のふれあいを描いた児童文学の傑作。「何でも自分で決める」という“魔女の基本”を教えた祖母との別れは、切なくも温かく、読む者の胸に沁みる。
●おばあちゃんだから聞ける話、教わることがある。自分の祖母を思い出して泣けた(27・女・主婦)
●死という悲しいはずの別れだけれどなぜか希望に続いているような感じが出ていた(32・女・会社員)
9位 『天使の卵 エンジェルス・エッグ』 村山由佳 集英社文庫
38票

直木賞作家のデビュー作。19歳の予備校生の歩太は、8歳年上の春妃にひとめ惚れをする。だが、彼女は、暗い過去を背負っていた。しかも、彼女の妹は……。切なく情熱的な恋の結末に待っていた別れは、今もファンの心に刻まれている。
●愛する人とまだ見ぬ子供との別れが心に残った(31・女)
●失った恋人が恋しくて仕方ないけれど、悲しみを抱えたまま歩き出さなくてはいけない主人公の姿に、思わず涙(22・女・大学生)
10位 『博士の愛した数式』 小川洋子 新潮社
37票

80分しか記憶が継続しない元数学教授の「博士」の家政婦として勤めることになった「私」。やがて、10歳の息子を含めた3人の間には、情愛が通いあうようになる。だが……。世界の美しさを伝えてくれた人との交流と別れを静謐な筆致で描く。
●80分しか記憶がもたない博士との生活は、毎回別れの練習をしているようなもの。永遠の別れまで。とても悲しい物語(32・女)
●人生には必ずくる別れをこれほど静に迎える物語は、そうないと思う(25・女・大学院生)
傾向分析
老年期を生きる「センセイ」と、その教え子との恋。淡々としていながら、行間に切ない別れの予感が溢れる『センセイの鞄』が、別れの喪失感そのものがテーマである『ノルウェイの森』を僅差で抑え、トップに。『世界の中心で、愛をさけぶ』『いま、会いにゆきます』など、映像化もされ、涙を誘った話題作も堂々のランクイン。これら以外にも、『秘密』『天使の卵』など、愛しい人との「死」という永遠の別れを描いた作品が、ベスト10には顔を揃えた。すべての人が体験せざるをえない、かけがえのない存在との死別。それがもたらす行き場のない切なさや悲しみ、喪失感を抱えてどう生きていくかは、年齢や性別を超えて、多くの人にとって重要にして切実なテーマだということだろう。
11『夏の庭−The Friends−』 湯本香樹実 新潮文庫 32票
12『風と共に去りぬ』 マーガレット・ミッチェル 新潮文庫 31票
13『錦繍』 宮本 輝 新潮文庫 29票
14『落下する夕方』 江國香織 角川文庫 27票
15『サヨナライツカ』 辻 仁成 幻冬舎文庫 26票
16『星の王子さま』 サン・テグジュペリ 岩波書店 24票
16『塩狩峠』 三浦綾子 新潮文庫 24票
16『いつでも会える』 菊田まりこ 学習研究社 24票
19『ドラえもん』 藤子・F・不ニ雄 小学館ぴっかぴかCほか 23票
20『こころ』 夏目漱石 新潮文庫ほか 22票
少数派
『おとうと』幸田 文
●やんちゃな弟が、結核で死んでしまう。高校生だった私は、弟がいるせいもあり、心が絞られるような悲しみを感じました(28・女・会社員)
『美しい魂』島田雅彦
●別れを選ぶことで、登場人物二人の思いが究極にまで結び合ったことを感じさせる。天皇・国・個人といった壮大な背景がその印象をより強める(31・男・会社員)
『別れの美学』松本侑子
●付き合っていた人と別れた頃に出会った本。別れについていろいろ書いてあり、勇気づけられ、反省もできました(32・女・会社員)
『たけくらべ』樋口一葉
●環境や運命に逆らえず初恋が消えていく悲しさが伝わってくる(35・男・会社員)
『水曜の朝、午前三時』蓮見圭一
●大阪万博の頃の、時代のせいで別れなければならなかった二人に涙。どんなに好きでも周りの目が気になる気持ちにも共感(23・女・大学院生)
『異人たちとの夏』山田太一
●亡くなった両親と再会した喜びがまた別れのつらさを倍にしているようで、切ない(32・女・会社員)
『あとに残された人へ 1000の風』
●母が亡くなった頃に読み、頻繁にお墓にも行けない私にとって、亡き人が風となって身近にいるという文章が心に沁みた(33・女・会社員)
『満ち足りぬ月』林 真理子
●キャリアウーマンと専業主婦との二人は、別れがなければ理由もない憎悪や劣等感が一生続いていたかも。別れという選択肢が必要なときもあると思わされる(34・女・主婦)
『ライオンハート』恩田 陸
●出会うことが既に別れの始まり。そんな切ない思いが時空を超えて、というのに感動(21・女・大学生)
『セイジ』辻内智貴
●世知辛い世の中で、自分のためにではなく、純粋さを貫いたセイジさんの「別れ」が心に残った(34・女)
『雨鱒の川』川上健一
●愛しき人と共に生きるために故郷と決別した主人公の行動力をうらやましく思います(33・男・公務員)
『虚無のオペラ』小池真理子
●別れるための4日間の旅行。大人の恋はこういうふうに引き際がきれいでなくっちゃ(39・女・主婦)
『センチメンタルな旅・冬の旅』荒木経惟
●アラーキー氏と亡くなった妻・陽子さんの関係に、こんなにも深い愛情があるのかと涙が止まらず、愛というものを再認識した(29・女・会社員)
『青の炎』貴志祐介
●愛する者を守るために脇目もふらずに突っ走った主人公は、ある意味自分と決別したのだろう。そんな彼が愛しくて悲しい(23・男・無職)
6月号(5/6発売)のテーマ『食べてみたい!本に出てくるあの料理』
投稿者 davinci_blue : 2005年03月05日 12:42