2004年09月06日
この思いが共有できれば……。今だからこそ、親に読んでもらいたい本
ことあるごとに親と対立していた、そんな日々は、誰にでも覚えがあるはず。あの頃伝えられなかった思いを、本に託して手渡すとすれば? 世代を超えたコミュニケーションを実現する本を、一挙にランキング!<有効投票数>886通(一人MAX3作まで投票可)
1位『エイジ』 重松 清 新潮文庫
77票

郊外のニュータウンに住む中学2年生のエイジの日常に一大事件が発生。同級生が連続通り魔事件の犯人として捕まったのだ……。親や友だちへの複雑な思いに揺れる「チュー坊生活」をリアルに描く。自身の中学時代をだぶらせる読者多数。
●僕らの時代の中学生ってこうだったんだよってことを知ってほしい気がする(21・男・大学生)
●何気ない日常なのに、人を傷つけてしまう少年の気持ちが見えてくるよう(54・女・パート)
●中学生の男の子がエネルギーをもてあましている様子がよくわかる(38・女・主婦)
2位『星の王子さま』 サン=テグジュペリ 岩波少年文庫
74票

サハラ砂漠に不時着した飛行士と「ほんとうのこと」しか知りたがらない星の王子さまのふれあいを描いた永遠の名作。言葉にはできなかったけど、子どもの頃は知っていて、大人になると忘れてしまう大切な「何か」が詰まった一冊。
●子どもの頃の純粋な気持ちを忘れている大人が多いから(37・男・会社員)
●ちょっとイライラしているようなので、これでほっこりしてほしい(35・女・パート)
●お金や成績みたいに数字で表せるものとそうでないものの価値を思い出せる(31・女・会社員)
3位『4TEEN フォーティーン』 石田衣良 新潮社
69票

もんじゃ焼き屋と長屋と高層ビルが共存する街・月島で、恋をし、傷つき、死と出会う中学生4人。現代感覚の妙手が「イマドキ」の14歳の日常と冒険を瑞々しく描いた直木賞受賞作。かつて「少年」だった日々を思い出してほしいとの声も。
●遊んでいてそうで、実は真面目な少年たちは、あなたたちと同じなんだよ、という思いを込めて(28・男・会社員)
●男子って今も昔も考えることは変わらないのでは? 父親に読んでもらえたら(17・女・高校生)
4位『「十二国記」シリーズ』 小野不由美 講談社文庫ほか
66票

12人の王と12頭の麒麟が収める異世界へと連れてこられた女子高生・陽子。壮大にして緻密な世界観とともに、生き延びるための厳しい闘いの中で葛藤し成長する陽子の姿が共感を呼ぶシリーズ第一作をはじめ、世代を問わず、楽しめる超人気異世界ファンタジー。
●陽子のことを信じなかった両親に傷ついた陽子の姿を見せたい(23・女・会社員)
●母は考え方が後ろ向きなので、前向きな登場人物を見習ってほしい(29・女・会社員)
5位『車輪の下』 ヘルマン・ヘッセ 新潮文庫ほか
51票

周囲の人の期待に応えようと勉学に打ち込み、神学校の入学試験に通るハンス。だが、そこでの生活は彼の心を踏みにじるものだった……。子への期待という親にとっては当然の思いが時として子どもを傷つけるという事実をつきつける名作。
●優等生だった私が、この本を読んで勉強しなくなったことを知ってほしい(42・女・パート)
●親の期待が子どもを苦しめるという悲しい現実を知らされる(35・女・会社員)
6位『ぼくは勉強が できない』 山田詠美 新潮文庫
48票

勉強はできないけど、真っ直ぐで鋭くて、女にもモテる17歳、時田秀美クンの青春を爽やかに描いた人気作。一般的な「いい家庭」からちょっと外れているが、彼に既成の概念を押し付けず、あたたかく見守る母や祖父たちに支持が集まる。
●勉強ができるだけがよいことではない。価値観を少しでも変えるきっかけになれば(32・男・公務員)
●自分の価値観で秀美君を育てる仁子さんが、カッコイイ! あんな母親に育ててもらえたら……(28・女・公務員)
7位『13歳の ハローワーク』 村上 龍 幻冬舎
44票

動物、映画、音楽、スポーツ……いろんな「好き」を入り口に514種の職種を紹介。社会人である親も知らないだろう職種も挙げられているが、まずは、「いい学校を出ていい会社に入れば安泰」という古い価値観を捨ててほしいという声多し。
●世の中にある職業をまず親が知り、進路の相談にのってあげてほしい(30・男・専門学校生)
●あれだけの仕事を親が知っていたら、もっと将来のことを考えられて、可能性が広がったはず(40・男・会社員)
8位『世界の中心で、 愛をさけぶ』 片山恭一 小学館
40票

好きなひとを亡くすことは、なぜ辛いのだろうか……十数年前、高校生時代の恋人の死から始まる魂の彷徨の物語。日本中を泣かせ、映像化でも大きな話題を呼んだ一冊。仕事や子育てなどに追われる世代の心にこそ「涙」という慈雨が必要なのかも。
●若い頃の一途な愛を思い出してほしい(43・女・主婦)
●昔、『ある愛の詩』で涙した親を再び、この本で泣かせたい(52・男・会社員)
9位『永遠の仔』 天童荒太 幻冬舎
35票

心に傷を負い、施設におくられた二人の少年と一人の少女。霧の霊峰で起こした事件が、17年後に再会した彼らを地獄へと導く。幼児虐待という重いテーマを扱った感動大作。子どもをめぐる現実が小説以上に悲惨な今だからこそ……。
●子どもにとって、親の存在とその在り方が、その後の人生を大きく左右するということをよく考えてほしい(24・女・主婦)
●両親は、娘の目から見てもかなり世間知らずなので、現実を少しずつ知ってもらいたい(42・女・パート)
10位『フライ,ダディ,フライ』 金城一紀 講談社
33票

唯一の自慢である娘が奇禍に遭い、復讐を誓う中年サラリーマン、鈴木一。ボクシングの高校チャンピオン相手の戦いに挑む彼を助けるのは、オチコボレ高校生集団「ゾンビーズ」の面々――。主人公の変身ぶりがエールとなることを願う人多数。
●ダメ親父がベストファーザー賞もののナイスミドルに転身する姿から何かを感じ取っていただきたい(18・男・大学生)
傾向分析
激戦を僅差で制したのは、中学生の日常をリアルに描いた『エイジ』。同作および、2位『星の王子さま』、3位『4TEEN』が支持された背景には、「子どもは大人が思っている以上に考えているし、大切なことを感じ取っている……」という思いが感じられる。『車輪の下』『ぼくは勉強ができない』『13歳のハローワーク』のランクインも、「いい子」像の押し付けに対する反発が要因だろう。親子間の壁を感じさせる作品が数多く並んだが、『フライ,ダディ,フライ』のような、お疲れ気味の親世代にエールを贈送る作品や『世界の……』のように「純粋だった頃を思い出して」というような作品がランクインしたことにも注目したい。
11『夜回り先生』 水谷 修 サンクチュアリ・パブリッシング 27票
12『「ハリー・ポッター」シリーズ』 J・K・ローリング 静山社 25票
13『バッテリー』 あさのあつこ 角川文庫ほか 22票
13『毎日かあさん カニ母編』 西原理恵子 毎日新聞社 22票
15『博士の愛した数式』 小川洋子 新潮社 20票
16『日本一醜い親への手紙』 CreateMedia/編 メディアワークス 19票
17『窓ぎわのトットちゃん』 黒柳徹子 講談社文庫 17票
17『西の魔女が死んだ』 梨木香歩 新潮文庫 17票
19『うつくしい子ども』 石田衣良 文春文庫 13票
20『69』 村上 龍 集英社文庫 11票
少数派
99才まで生きたあかんぼう』辻 仁成
●神様という視点から人生を客観的に見ている。親が読めば、人間という立場で子どもたちに接することができる気がする(26・女・その他)
『すごいよ マサルさん』うすた京介
●親が子供だった頃こんな理不尽な主人公のギャグ漫画はなかったはず。思いっきり笑ってほしい(20・女・大学生)
『死に花』太田蘭三
●私の親はともに70代。この小説の主人公のように老人パワーを爆発させてほしい(46・男・会社員)
『家守綺譚』梨木香歩
●機械に弱い親たちに差し出したい。近代化についていけない主人公と、古い日本家屋に宿る精霊との交流に懐かしい気持ちがするはず(28・女・フリーター)
『卒業式まで死にません』南条あや
●何も言わないのは文句がないからじゃない、あきらめているから、という場合もあることを知ってほしい(22・女・無職)
『ICO――霧の城――』宮部みゆき
●ゲームでも面白いものは面白いということをわかってほしい(24・男・会社員)
『シェエラザード』浅田次郎
●戦中・戦後生まれの親の世代の感想を聞かせてほしい(23・女・会社員)
『ああ言えばこう嫁×行く』阿川佐和子、檀 ふみ
●結婚しない女性でもいきいき生きていけるということをわかってほしい。結婚、結婚と騒がなくなってくれることを期待して(27・女・会社員)
『つきのふね』森 絵都
●大人には他愛のないこと」でも、中学生にとっては大変なことで、一生懸命考えて生きてることを思い出してほしい(22・女・フリーター)
『Deep Love アユの物語』Yoshi
●いまどきの若い子は、という前にその世界に浸ってみると、派手な行動などの裏にある傷の痛みがわかるはず(41・女・主婦)
『礼儀作法入門』山口 瞳
●本当の礼儀作法は、無理やり押しつけてはいけないことがよくわかる(40・男・会社員)
『14歳からの哲学』池田晶子
●当たり前と思う事柄のそうでないことを説明する難しさ。考えなくちゃと思った。私を含め、「親」を選択したら読んでみては?(41・女・主婦)
『ゴミと罰』ジル・チャーチル
●ドタバタミステリーのお気楽な楽しさを知って、役に立つ本ばかりを読まなければいけないという思いを払拭してもらいたい(45・女・主婦)
『黄色い目の魚』佐藤多佳子
●親になるずっと前、子どもだった頃の自分を思い出させる作品だと思う(22・女・フリーター)
12月号(11/6発売)のテーマ『時代に翻弄される人々を描く大河小説、コミック』
投稿者 davinci : 01:23