|
岸本亜紀
(怪談、ミステリーを担当。日本唯一の怪談専門誌『幽』の第2号、12月刊行に向けて準備に入りました〜。みなさん、お楽しみに!)
錬金術師や陰陽師が試みた
神の領域を犯す禁断の物語
ホムンクルスというとゲーテの悲劇『ファウスト』に描かれたガラスの容器の中の生命体を思い出す。中世ヨーロッパの錬金術師が神の領域にまで踏み込んで作り出した生命体のそれだ。この作品の主人公・名越は錬金術的手術によって“心の闇をビジュアルとして視ることができる”能力を得たが、その“視えるもの”の形のバリエーションがなかなかに面白い。そこらの霊能者の霊視なんか比にならない。だが見逃してはいけないのは、ホムンクルスを視ることができるということは、自分がホムンクルスであることにほかならない。名越の抱える闇は何か。神の領域を侵して誕生したホムンクルスが、罪深いホムンクルスを救うことができるのか。反魂の術のようなマジカルな展開が楽しみな作品だ。
|