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2005年01月06日

私小説のナゼ……?


私小説の主人公はみんな「ダメ」なのはナゼ……? 
(大阪府 上江洲規子・主婦・36)
「私」は貧乏なのはナゼ……?
(大阪府 仲谷知之・大学院生・24)
性生活にだらしない人が多い のはナゼ……?
(福岡県 上村琴美・パート・26)
ワルだったことを披露したがるのはナゼ……?
(栃木県 えび子・会社員・27)
いつも苦悩しているのはナゼ……?楽しいことはちーっともないの?
(東京都 石埜由紀江・無職・48)
自虐的だったり内省的だったりするわりにナルシシズムを感じるのはナゼ……?
(北海道 R・会社員・38)
主人公の心情に影響されてしまうのはナゼ……?(新潟県 本・高校生・17)
みんな自分がいちばんカワイソウなんだよね。ナゼ……?
(大阪府 古橋かずこ・若隠居・22)
明るく楽しい「私小説」がないのはナゼ……?暗くジメジメしたもの=私小説 というイメージが、まかり通っている気がする。
(大阪府 奈良川恵子・会社員・33)
書いた人は絶対に不幸になっている気がするのはナゼ……?
(大阪府 永田幸子・大学院生・23)
私小説のイメージの「ナゼ……?」考察
 今回の投稿は通常の半分ほどでした。私小説というジャンル自体、現代ではあまり読まれてないんでしょうか。あるいはそれ以前に、書いている人自体が少ないのか。送られてきた投稿も私小説特有のじめじめした暗さやダメっぷりへの容赦ないツッコミがほとんど。  それにしても私小説というのは評価しづらいジャンルです。「つまんない」と言ってしまうとその作家の生き方や人間性が「つまんない」と言っているようで気が引ける。でも、やはりつまらないものはつまらない。逆に自分が面白いと思える人の書くものは何を読んでも面白く感じる。ここら辺の感覚は書き手と読み手の相性もあるんでしょうが、それが合わないと日々の出来事や個人的問題なんて読まされても眠たいだけです。  あらためてこうして投稿を並べてみると、私小説のイメージは目眩がするほどろくでもない。「〜貧乏〜」「性生活にだらしない〜」「ワルだった〜」ときて、「いつも苦悩している〜」と続けば、「そりゃそうだろ」「自業自得」と言いたくもなります。それでいてなんだかんだで破滅型ナルシスト。隣にいたら正座させて説教したくなるタイプかもしれません。しかし、ろくでもないのにナルシストっていうのが、実はけっこう人間の正直な部分のような気もする。剥き出しの人間臭さに共感をおぼえ、「主人公の心情に影響されてしまう〜」ことも。特に若い頃は影響されやすい。若気の至りの愛読書……身に覚えないでしょうか。ただし、感受性や我が強すぎてやむにやまれず社会適応できず、豪快に葛藤し続けているんならまだシンパシーを感じたりしますが、「みんな自分がいちばんカワイソウ〜」の指摘のように、過剰に“不幸な自分”をウリにした芸風のように見えてくると、もはや「……そういう人なんだ」くらいの感想しかわかない。平凡な幸せより、不幸なムードのほうがドラマチックなのは当然。あるいは後者のムードに居心地の良さをおぼえるタイプの人なんじゃないでしょうか。
自分にも書けそうな錯覚をおこすのはナゼ……?
(岐阜県 日下部さき・公務員・28)
たまに「酒呑みの自分語り」を聞いているような気がするのはナゼ……?
(石川県 中田圭佑・会社員・27)
私小説を書くと内容をめぐり、訴えられることが多いのはナゼ……?
(大阪府 池宮昭男・会社員・38)
私小説を書くことによって気持ちは楽になるのか? 苦しくなるのか?
(東京都 萩生田こず恵・無職・29)
日本文学以外のジャンルでとんと耳にしない のはナゼ……?
(京都府 早霧・大学生・27)
私小説とエッセイの違いがわからないののはナゼ……?
(福岡県 鳥居由紀・公務員・30)
自分のことを恥ずかしげもなく公開できるのはナゼ……?
私だったら金積まれても教えたくありません。
(北海道 松原美和・公務員・32)
健全で立身出世する私小説は面白くなさそうなのはナゼ……? ……それは自伝か。
(兵庫県 秋本聡・会社員・36)
どこまでが「私」でどこまでが「小説」なのか?ものすごく気になるのはナゼ……?
(埼玉県 堀越美加・主婦・35)
絶対に美化してると思ってしまうのはナゼ……?
(神奈川県 さみ・無職・23)
人の人生ってナゼ……おもしろいんだろう? (長野県 清水美香・主婦・30)
私小説というジャンルの「ナゼ……?」考察
 ただダメな自分や憂鬱な気分を書けばいいなら誰にでも書けそうなもの。自分のことをダメだと思ってる人なんて全国に数千万人単位でいるはず。そんな中で、実社会で本当に生きづらいタイプの人でありながら、かろうじて文才によって生計がどうにか成り立った幸運なレアケースが私小説作家ではないでしょうか。本当にダメな人はそれを文章にして表現しようとすら思わないもの。そう考えると、私小説作家とは割とマジメな人種なのかもしれません。「〜酒呑みの自分語り〜」もあるでしょうが、ヒロポンをはじめとする薬物による自分語りもけっこう多い。デタラメに見えて、それでも彼らは自分に対してはマジメに向き合ってたんでしょう。息苦しい世間体の社会に対しては死ぬまで不真面目だっただけで。ところで、私小説というジャンルはなぜかお酒によく合う。実際、お酒を飲みながら書かれたものもけっこうありそうです。  また、かつて日本文学=私小説というイメージの時代もあったわけですが、海外からすると、あれは小説ではなくてエッセイか自伝の部類。「私小説」とは独自の進化をとげてきた日本オリジナルの表現。そうした中で育まれた優れた私小説に感じるのは、自分を蹴飛ばすような客観視です。自分に都合のいい部分を捨て去った私小説はやはり感銘をうける。それこそ社会性のブレーキなんてかけずに一生やり続けていただきたい。「私小説を書くことによって気持ちは楽になるのか〜」ですが、どうなんでしょう。表現することでガス抜きしないとやりきれないタイプの人で、書かないでいるともっと息苦しいのかもしれないし、一方で自分を人に晒しすぎる行為は自家中毒を起こしやく自滅しやすいように想像されます。完全に割り切れてないと精神的にキツイのでは。かつての文壇がノイローゼの巣窟であるかのような印象があることを思うと、私小説全盛の時代なんて終わってよかったのかもしれません。

2005年4月号(3/5発売)のテーマ
青年コミック誌『ヤング○○○』のナゼ……?
ご応募お待ちしています!

投稿者 davinci_orange : 00:00