2008年10月25日(土曜日)

【HR】 印税以外

 一日曇り空。寒々しい日だった。スバル氏が出かけていくので駅まで送った。パスカルと留守番。
 「D&D」の4編のエッセィの残りの半分を書いた。推敲は後日。「半熟セミナ〜」のゲラは50%まで見た。「もえない」ノベルス版の2校ゲラが届いたが、校閲が見た形跡がないので編集部に問い合わせ中。経理のためにエクセルに入力をしていたら、現時点で既に過去最高の印税額になっていた。今年って、特になにかが当たったわけでもなく、映画の影響で「スカイ・クロラ」のシリーズが売れたけれど、量は割合としてそれほど多くはない。どれかが目立って売れたというわけではなくて、過去の文庫も含め、全体的に地道に売れて集積した、という分析しかできない。

 庭掃除をしたし、線路の整備をした。体調は60%くらいの感じ。ファン倶楽部から頼まれているピンバッジのデザインをした。昨夜スケッチを描いたのだが、それが天才的に上手で、スバル氏も絶賛だった。なにを思ったか、彼女はそれをコンピュータに取り込んで、ピンバッジに使えるように直し始めた。自分の作業だと勘違いをしたらしい。あとでそれに気づき、いつもどおり僕がロットリングで手描きをすることになった。しかし、いつも思うのだが、最初にサインペンでラフに描いたスケッチが一番良いのだ。スバル氏は、それを拡大してそのままTシャツにプリントしたら格好良い、と話していた。

 昨日は印税のことを書いたので、このほかの収入のことを簡単に書く。実は、作家(あるいは小説家)について、しばらく連載で書こうと決めたからだ。印税から始めたあたりが、いかにも森博嗣らしい。
 僕の場合は、収入としては印税が一番多いけれど、これは作家によって様々らしい。連載を沢山引き受けて、原稿料で儲ける道もあるし、タレントのように顔を売って、講演料で稼ぐ道もある。売れっ子になれば、CMの仕事が来ることもある。これは、金額としてなかなか大きい。それから、自分の作品が他のメディアで展開することもある。たとえば、映画やドラマや漫画だ。これらは、金額としてはそれほど大きくはないけれど、それに伴って本が売れるという効果が期待できるので、お金をもらって、しかも宣伝してもらえる、いうなれば美味い話ではある。
 小説雑誌は、原稿用紙1枚で5000〜10000円くらいもらえる。だから、1カ月に100枚ほど書けば、それだけで生活に充分な収入になる。月刊誌で1つ連載を持つだけで食べていけるということ。100枚くらい、数日で書けるだろうし、漫画のようにアシスタントを雇う必要もない。ただ、原稿の依頼があれば、の話である。作家の方から「載せてほしい」とアプローチするようなことがあるのかどうかは、僕は知らない。その経験はない。
 取材を受けることで、いくらかもらえることもある。これは微々たるもので、やはり宣伝の1つだと考えた方が良い。TVに出たりしても少々もらえる。ちょっとしたエッセィを頼まれたり、誰かの本の解説や推薦文を頼まれた場合も、いくらかもらえる。けっこうこういった細かい仕事が来る。忙しくなるだけで、小説の執筆に比べると効率は圧倒的に悪い。ただ、ときどきは面白そうなので好奇心で引き受けてしまう。

 さて、収入に比べて、支出はどうか。作家は、なにかを仕入れるわけではないので、実は経費はほとんどかからないのだが、これは考え方の問題で、逆にいえば、すべての経験が仕入れだともいえるから、そうなると生活のなにもかもが必要経費とも思えてくる。たとえば、旅行すれば、それは取材旅行ということになるだろう。もっとも、僕の場合、これまで海外へ何度か取材旅行をしたが、そのときは、自分のお金を1円も使っていない。なにからなにまですべて出版社が出してくれた。だから、経費としては0円である(念のために書いておくが、僕は自分から「取材旅行にいきたい」ともちかけたことは一度もない)。
 本や雑誌の購入費は経費で落とせるだろう。これは資料代だ。海外の古い文献も経費で買える。非常に嬉しい。何の文献か? それは秘密である。いつかそれについて執筆するかもしれないし……、みたいな。

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