2008年05月13日(火曜日)

【図工】 スケールとフリー

 模型の世界では、「スケール」といって実物どおりに作るモデルと、「フリー」と呼ばれる自由に自分の好みの形に作るモデルがある、という話は何度か書いた(特に、庭園鉄道関係のレポートや著作に詳しい)。簡単にまとめると、スケールは実物志向で、いかに本物を忠実に再現するか、を目指す。フリーは、自分の創造によるもので、その発想や感性が表れやすい。
 これは、ノンフィクションとフィクションにとてもよく似ている。ノンフィクションは、取材をして、いかに事実を捉えるのか、自分の視点をどこに置くのか、といったところに価値が表れる。スケールモデルにも「解釈」や「デフォルメ」があって、そこにこそ作者の技や思想が注がれる。
 一方、フィクションの小説などは、フリーモデルに似ている。事実に即して書く必要がないから、簡単で、誰でもすぐに書ける、というふうにも見られがちだけれど、なにも頼るものがないからこそ、どこから始めるのかわからないし、また、リアリティを出すための苦労が必要になる。1つの頭脳が産み出した、という点ではわかりやすい芸術といえるが、少しずれると、単なる自己満足のがらくたになりかねない。
 まえにも書いたが、僕は飛行機はスケール志向である。それは、形状に性能が表れるためだ。ただ、もうそろそろフリーへ移行したいな、と思い始めている。ようやく、そのレベルまで自分の技量が蓄積された、と感じるからだ。また、機関車は最初からフリー志向だった。走るメカニズム自体が面白いので、実物と同じ形には拘らない。実物の鉄道には、ほとんどといって良いほど興味がない、ということもあったし。
 文章に関していえば、ずっと論文や技術書を書いてきた。これは、完全なノンフィクションだ。そして、今はフリーである。

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