2008年04月28日(月曜日)

【図工】 美術の先生

 僕の母親は、息子にいろいろなことを習わせようとした。僕が自分の子供たちにそれをしなかったのは、僕自身が習い事が嫌いだったからである。さて、沢山の習い事(算盤、英会話、水泳、習字などなど……)で1つとして長続きしたものはないのだが、まあまあ悪くないな、と思った例外は「お絵かき」だった。これは、小学校低学年のときだったと思う。
 その先生が「こうすれば良いかもね」と教えてくれることが、いちいち凄いと思えたからだ。そういう大人にそれまであまりお目にかかったことがなかったのである。だから、1年くらいは続けたような気がする。最後は厭きたけれど。
 ところが、中学に上がって、2年生のときの美術の先生が、そのお絵かき教室の先生その人だった。けっこう有名な画家だったらしい。中学の先生が、小学校の先生と違うのは、みんな専門家だということ。音楽の先生は、どんな曲でもすぐにピアノで弾けたし、習字の先生は、「上手い字」ではなく「凄い字」を書いた。体育の先生は、柔道か剣道が7段か8段という人ばかりだった(そのかわり例外なく年寄りだが)。学科の先生も自信に満ちていた。こういうのは、子供にはもの凄く伝わるものである。その道のプロはやっぱり凄い、大人は凄い、と思った。
 美術の先生が中でも凄かった。その先生が描いたものは滅多に見られないけれど、「上手い絵」ではなく「凄い絵」を褒めてくれる。「綺麗さ」よりも、「激しさ」や「新しさ」を求めるのだ。なるほど、これこそ芸術というものだな、と理解した。小学校のときの図工の教育は何だったのか、と子供ながらに振り返ったものである。

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