2008年04月15日(火曜日)

【国語】 表現力とは

 日本語は英語に比べると、誰でも書くことができる、といえるくらい作文が簡単だ。単語の順番を間違えても、だいたい通じてしまう。こんなに沢山の人がテキストを書いてネットで公開しているのも、そのためだろう。また、ある意味で、文学的な文章が特に簡単な言語といえる。英語を文学的に書くことに比べたら、という意味だ。しかし、ものごとを緻密に説明することにかけては、日本語は非常に難しい。文章だけで細かいことを正確に説明するのには向いていない。どうしても、図や写真の補助が必要になる。これもしかし、最近のネット文化を見れば明らかかもしれない。
 文章の表現力というのはどんなものか、というと、一言でいえば、相手がどう受け取るかを想像する力のことだ。語彙が豊富である必要は必ずしもない。何故なら、少ない単語でも、言葉数を尽くせば、誤解を避けることができる。スマートでなくても、最低限、間違いなく伝わる文章は可能だからだ。
 たとえば、ハサミを見たことがない人に、それを文章で説明し、どんな形のもので、どのように使うのか、などを伝えてみよう。フライパンでも良いし、ネジでも良い。誰もが知っている身近なものが良いだろう。説明したことなど一度もないからだ。さて、上手く説明できるだろうか? 絵を描けば簡単に伝わることでも、言葉だけで説明するのはけっこう難しい。実際にやってみないと気づかない難しさである。
 目の前に相手がいるときは、「ほら、ここで、こうしてね、こんなふうになるでしょう?」と身振りを交えて示すことができる。大衆の大多数は、目の前にいる人間だけを相手にする生活なのだ。そういう人が使う言葉は、ほとんど代名詞だけで用をなす。しかしこれでは、本当に日本語を操っているとはいえないだろう。英語でもまったく同じで、ネイティブの人であっても、本当に英語を操れる人はごく少数である。
 目が見えない人に、「透明」を説明してみよう。耳の聞こえない人に、「静けさ」を説明してみよう。

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