2008年03月24日(月曜日)
【国語】 お任せ下さい
街にある看板でときどき見かけるものに、「○○ならお任せ下さい」というフレーズがある。しかし、よく読んでみると変なものが多い。たとえば、うちの近くには、「交通事故ならお任せ下さい」という保険会社のものと、「雨漏りならお任せ下さい」という修繕業者の看板がある。べつにおかしいと感じない人も多いだろう。これが、「交通事故に遭ったときはお任せ下さい」「雨漏りの場合はお任せ下さい」なら少し和らぐ。「ならば」だったら良いようにも感じる。しかし、「ならば」が良くて、「なら」だったら変なのも、おかしい。
「○○ならお任せ下さい」は、○○に入る名詞の商品を売る用意がある、あるいはそれをすることができる、という意味に普通は使われる。だから、「交通事故のときの処理ならお任せ下さい」「雨漏りのときの修繕ならお任せ下さい」が正しい記述である。これを省くから、まるで、アタリ屋のように交通事故を請け負っているみたいに聞こえるし、また屋根に穴をあけて雨漏りを演出してくれるみたいに想像してしまうのだ。
おかしくない、という人はたぶん、「あなたがお困りのことが交通事故なら、(当社に)お任せ下さい」という読み方をしているのだろう。こうなると、たしかにおかしくない。
微妙なものもある。たとえば、歯医者さんが「虫歯ならお任せ下さい」という看板を立てた場合、これは変だろうか? 「虫歯」は商品ではないが、しかし、そんなにおかしくない。でも、たとえば病院が「病気ならお任せ下さい」という看板を出したら、これはかなりおかしい。
「お部屋探しならお任せ下さい」はおかしくないが、しかし、ただ探してくれるだけで、貸してくれない、売ってくれない、では困る。これも、「お部屋探しのときはお任せ下さい」の方が誤解がない。
車に乗ったとき、カーナビが「道案内ならお任せ下さい」としゃべったら面白いが、「当たり前だろう」「だから買ったんじゃないか」とつっこみたくなる。カーナビは、「目的地周辺」で突然案内を放棄してしまうから、任せっ放しにできないと思うし。