2008年03月20日(木曜日)

【理科】 根源的な驚き

 有栖川です。四日目は、理科を文系くさく語ってみましょう。
 学校で色々な知識を得て、「ほお」とか「へえ」とか驚いたり感心したりしました。その中で最大のワンダーは何か、と考えているうちに、「あれかな」というものが浮かんできました。ワンダーは理科にあり。中学一年で習った原子や分子の構造です。
 物質はすべて原子からできていることは、小学生の頃から知っていたはずです。が、理科の教科書であの図を見た時の「えっ」という感じは忘れられません。原子の結合を描いた分子のモデルです。パチンコ玉のようなのが短いバネで縦横につながって、小さく震えていました。「何これ?」です。
 物質を繰り返し分割していけば、それ以上は分けられない究極の微粒子になる。私が抱いていた原子のイメージは、ただそれだけでした。だから、その原子が整然と結合して、細かく振動しているだなんて(何故震える?)、想像だにしなかったのです。
 たちまちモノを見る目が変わってしまいました。自分の手や机を撫でさすっては、「これも振動する原子の固まりなのか」と不思議がり、家に帰ってコップでジュースを飲もうとしては、「こいつは原子の結びつきが弱いから液体の状態をとっているのか。だからコップを傾けると、原子がずるずる動いて水面が斜めになるのか」と瞠目する始末。「知らんかったあ!」です。目に映るものすべてが、真新しく見えましたね。社会の授業で共産主義とは何かを教わった時も知的興奮を覚えましたが、原子の秘密に触れた時ほどのインパクトはありませんでした。
 中学校では、原子核のまわりを電子が回っているかのように聞きましたが、その後、電子は観測不能の状態で確率的に存在していることを知って驚き、原子核がさらに分割されることを知って驚きます。何故、正負の電荷を帯びた原子核と電子は引き合わないのでしょうね。また、原子核の大きさを一センチとすると電子は一ミリで、原子そのものの大きさは百メートルだと聞き、だったら何もかもスカスカではないか、と驚愕して……現在に至っています。
 万物の根源はそれより小さく分割できないもの=アトモスである、という仮説は、紀元前五世紀からギリシャの科学者によって唱えられていました。もちろん、アトモスを観測するなんて不可能でしたから、直観だけで真実に到達していたわけですね。人間の想像力に対して、畏敬の念を覚えてしまいます。
 しかし、見方を変えると、世界の姿は人間の直観が及ぶ範囲内なのかもしれず、万物が「ある」理由も、すでに私たちは知っているのかもしれません。

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