2008年03月17日(月曜日)

【HR】 基本方針の重視

 暖かい日が続いている。特に今日は風がない、ということを前日に予測し、朝早起きをして、飛行機を車に積んで出かけた。飛行場までは1時間半ほど。もの凄い晴天で、花粉以外は完璧な飛行日和。三葉の古典機を2回フライトした。ふわふわと飛んで、ローパスが素晴らしかった。気持ちが良い。疲れないうちに早々に引き上げて帰宅したら、まだ午前中だった。
 「カクレカラクリ」のゲラを45%まで見た。ほとんど直すところがない。順調。

 スバル氏がまた花を買ってきた。しかし、まだまだ植える場所がある。今度はこの辺を花壇にしよう、という話をした。春になるとそういう話題に突然なる。でも、結局は立派になっている植物はすべて何年もまえに植えたもので、その何倍もが枯れて消えていった。弱肉強食である。暖かくなって、みるみる育っているものを眺めていると、枯れたもののことなど思い出せない。朝と夕方で大きさが違うのがわかるくらい成長するから、三脚にデジカメをセットし、インターバルを置いてシャッタを切り、あとでそれが動画として見られる、という機種があったら良いな、と思った。ビデオカメラならあるだろうか。
 午後は角川の人が3人来宅。「野性時代」で担当だったK子氏は既に異動になっている(しかし、連載が終わるまでは担当をしてもらった)。「どきどき〜」のゲラを取りにきてくれたのだ。もう小説の連載はしないし、長編も何をどこに書くのかは決めている、という話をした。
 夕方は庭仕事。掃除をしたり、土いじりをしたり、水やりをしたり。パスカルもずっと一緒。金属工作も2時間ほどできた。今はずっと真鍮が相手。

 佐藤氏からいただいたポンプを機関車に取り付ける段取りをしている(考えているだけだが)。どの位置に、どのような方法で取り付け、また配管をどうするか、という図面を頭の中で描いた。昨日と今日で、だいたいまとまってきた。
 そういった基本方針が決まると、次はどんな部品が必要か、という詳細計画になる。手持ちの部品がある場合には、それを活かすために、基本設計を変更することもある。昔はこれが多かった。でも、最近は基本方針をできるだけ変えないで進めることにしている。部品や材料を惜しみなく買える大人になったからだ。
 また、工作過程を思い描き、工事の段取りをするわけだが、このときも、もっと簡単にできないか、と考えて基本方針を変更することが多かった。これについても最近は反省をして、基本方針を重視し、少々面倒でも最初に決めたものを目指すことにしている。時間を惜しみなく使える大人になったからだろう。ようするに、若いときよりは柔軟性を排除し、頑なになったわけだ。結局は、その方が満足できるものになる、とわかってきたこともある。

 本日より、特別講義。講師は、有栖川有栖氏。デビューしたばかりの頃、京都で最初にお会いし、また、「メフィスト」で対談をしたこともあった(星新一がテーマだった)。どうかよろしくお願いします。

【国語】 言葉の出入り

 有栖川有栖です。お招きいただき、モリログにお邪魔します。五日間、どうかお付き合いください。
 初日は国語にしました。テーマは言葉の出入りについて。出入りというのは、新しい言葉が生まれたり、古くなった言葉が消えていったりすることです。森博嗣さんと私には、「助教授」を探偵役にしたシリーズを書いている、という共通点がありますが、この「助教授」が学校教育法の改定に伴って、あれよあれよという間に「准教授」に変わってしまいました。言葉に出入りが生じたわけです。
 言葉は生き物ですから、新陳代謝は必然です。しかし、世の中には意図して「自分が新しい言葉を創ってやろう」と考える人がいます。自然科学で新しい事実や知見が見出された場合、発見者・発案者による名づけが行なわれるのは当然のことです。が、社会科学や人文科学の場合は、そうとは限らない。生煮えの仮説を提示した上で「私はこれを×××と呼んでいる」なんていうのを聞くと、「いい気なもんだ」と鼻白んでしまいます。本人は「このタームが流行ったらいいな。定着するとすごいなと」思っているのでしょうけれど。
 本当に「いい気」になれるかどうか試してみましょう。マスコミを通じて広まり、ある程度の期間、新語として流布しそうな言葉を二つ考えました。
 その一。安全性を欠いた工業製品や農産物を輸出したり、毒性を帯びた黄砂を撒き散らしたり、資源を確保するため他国(たとえばスーダン)の政情を混乱させたり、このところ中国発のトラブルが増えています。中国政府の責に負うものもあれば、大きな国が急速に発展することで生じる悩ましさもあるでしょう。それやこれやをひっくるめて、「私はこれをチャイナ・ハザードと呼んでいる」。
 その二。人口減少社会に突入したというのに、まだ「道路や橋を作ってくれ」「空港や新幹線を」と求める声があります(無論、中には必要なものもあるでしょうが)。利用者も税収も減少することが目に見えているのに。そのうち「新しいものはいらないから、せめて今の道路を維持させてくれ」となりそう。そんな事態が予想されるので、言葉を用意しておきましょう。「私はこれを維持苦と呼んでいる」。
 ……実際に流行らないと、いい気にはなれませんね。
 そうそう。国際化が進み、海外からの移民の子供たちの増加が見込まれていますが、教育の現場では、言語の問題をどう解消するかがすでに課題となっています。ある言葉の出入りが避けられないでしょう。将来、「国語」の授業の呼び名は「日本語」に改められると思います。

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