2008年03月05日(水曜日)

【HR】 目の精度

 8時起床。よく寝た。工作で肉体疲労したせいだ。今日も晴れてそこそこ気温が上がったものの、北風が強い。明日からもっと暖かくなるとか。庭で少しだけ活動したが、寒いので途中で諦めた。
 「工学部・水柿〜」のゲラは最後まで見た。カバーなどのチェックが幾つか。
 パスカルが爪を切ってもらうとき、もの凄く抵抗して面白かった。本当に嫌みたいだ。抵抗するといっても、口を持ってくるようなことはないし、歯を剥き出すことさえない。ただただ、猛烈に暴れるのである。
 お昼過ぎに、スバル氏と2人で書店とスーパへ。黄砂のせいで車がみんな汚れている。今夜は何が良いか、ときかれたので、カレーと答えてしまった。「どうしてカレーなの?」とさらに追及を受けたが、スバル氏のように「TVで見たから」といったわかりやすい動機は僕にはない。森家でカレーといえば、この頃はご飯ではなくて、ナンかフランスパンだ。

 2/29の2枚めの写真を見て、「9mmゲージですね」というメールが来たので驚いた。機関車が走っているのは32mm、その左は45mmゲージ、右は127mmゲージである。この機関車が9mmナロー(HOスケールのナロー、87分の1の9mmゲージ)だったら、パスカルはモルモットくらいの大きさになる。3枚めの写真は45mmゲージ。いずれも、車両は19分の1くらいだ(16mmスケールという。機関車製作部参照)。
 大きさの感覚というのは、普通の人はあまり鋭くない。模型をやっていると、大きさには敏感になる。ミニチュアを見れば、すぐにスケールを考える。揃っていないと不自然に感じる。たとえば、87分の1と80分の1の機関車のいずれか一方だけを見ても、どちらのスケールなのかわかる。1割も大きさが違えば、かなり違う。ミニクーパが小さいといって、どれくらい小さいのか多くの人は知らないのだろう。日本の軽自動車よりもずっと小さい。BMWから出た新しいミニクーパは、もうとんでもなくでかいミニのオバケだ。
 鉄道模型のジオラマの写真を見たとき、それが何分の1で作られたものかも、たいていわかる。HOスケールかNスケールか見間違えるようなことは滅多にない。最近、かなり精密になってきているけれど、やはりどことなく違う。同じ機種の機関車の写真だけを見て、OゲージかHOゲージかNゲージかもほぼ判別できる。ディテールもバランスも全然違うからだ。

 子供のとき、鉄道模型の雑誌の表紙を友達が見て、「これは模型ではなく、絶対に本物だ」と言い張った。そうか、普通の人はこの程度で見分けがつかないのか、と僕はびっくりした。今では、当時よりずっと模型の技術は進歩して、リアリティが格段に高まっている。それでも、本物か模型かを見分けられないことなんてまずありえない。人間の目(視力ではなく認識力)とは、それくらい精度が高いものである。ただし、それに興味があって、(視力ではなく認識力の)ピントが合っていれば、であるけれど……。

【図工】 ヤスリ

 材料を削る道具である。大きく分けて、金属でできたものと、サンドペーパに代表されるように、鉱物でできたものがある。
 金属のヤスリは、鋸の刃が幅広になったようなもので、つまり、材料を掻き取っている。使い方としては、一般に、材料を固定しておき、削る面にヤスリを当て、そして「押して」削る。引くのではない。
 何十本とヤスリを使っていると、ときどき奇妙なことに気づく。ある材料Aで使って、そろそろ鈍ってきたかな、という古いヤスリが、別の材料Bではよく削れるのだ。新しいものより、よく削れたりする。新しいヤスリはAもBもそこそこ削れるが、Bについていえば、古いヤスリの方が削れる、といったこともある。ようするに、ヤスリと材料に相性ができてしまうのである。
 もともと、ヤスリは異なる金属には使うな、とものの本には書かれている。しかし、家庭内工業では、そんな使い分けができるほど沢山ヤスリがないので、似たようなものには使うことになる。もちろん、金属以外の木材やプラスティックに対しては、ヤスリの目の粗さが全然違うから、混用は難しい。
 さて、相性があるのは、気のせいではない。金属によって、削る刃の角度の最適値が異なるためである。こういうことを実験によって確かめ、数値化したものが、「テクノロジィ」と呼ばれるもので、日本語でいえば「技術」あるいは「工学」である。さらに、どうしてそんな違いが生じるのかを考えるのが「サイエンス」、つまり「科学」あるいは「理学」である。
 昔は、このようなことが秘技とされ、個人に付随する能力と考えられてきた。「名人」「達人」と呼ばれる人が、その技を持っていたし、弟子にしか伝授されなかったものだ。もっといえば、「魔術」「妖術」の類も、こういった秘技に由来していただろう。
 工作をしない人が使ってもまったく削れないのに、同じヤスリを熟練者が手にすると、「魔法のように」さくさくと削れていくのである。

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