2008年01月17日(木曜日)

【図工】 手作りは何が良いのか

 「手作り」という言葉が良い意味を持ち始めたのは、いつ頃だったか。30年くらいまえだっただろうか。手作りと聞いただけで高品質なもの、と感じてしまう人が多いみたいだ。考えてみたら、根拠のない期待である。
 言葉は古い。江戸時代には、地主が自分のために耕作することだったらしい。また、陶器などを型を用いないで作ること、手で造形されたものも示す。「自分で作る」という意味で使われていた言葉で、人に売るために作ったものではない、というイメージが込められていた。「手料理」などもこれに近い。
 必ずしも手で触れて作る場合だけではない。道具や機械を使っている場合でも手作りというようだし、また、必ずしも大量生産しているものを除くわけでもない。ケーキ職人は一度に大量のケーキを手作りしている。境界は曖昧だ。
 また、機械で作ったものよりも人間が手で作ったものの方が品質が高い、という保障はまったくない。たとえば、「手作りの飛行機」や「手作りの鉄橋」を想像してみよう。ちょっと不安になるのでは? 手作りには「まごころ」が籠もっている、という付加価値はあるかもしれないけれど、「まごころの籠もったパソコン」は、発売されてもきっと売れないにちがいない。
 実は、手作りが有利な点はほとんどない。人件費がかかって高くなるし、ばらつきが大きくなり品質が安定しない。作る人間が交代すると同じものができなくなる。
 手作りの有利さとして、一つだけいえることは、作っているときにフィードバックがあることだ。作り手にそれを受け止める才能があれば、さらに良いものが作られる可能性が生まれる。したがって、手作りされた製品それ自体の価値というよりは、将来の製品への期待が持てる。

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