2008年01月17日(木曜日)

【HR】 時間を多く取ること

 ここ数日が冷え込むという予報なので、外で遊ぶのを自粛。週末は暖かくなるだろうか。朝、スバル氏が自分の食べているパンをパスカルにやっているのを目撃し、ちょっとした議論になった。まえからその疑惑はあったのだが、ついに問題が表面化した。話し合いの場が持たれるだろうか。決着はいかに。

 「クレィドゥ・ザ・スカイ」文庫版のゲラがきた。4月発行予定のものだ。単行本発行の5カ月後にノベルスを出し、さらにその5カ月後にはもう文庫化、という他に例を見ないスケジュール。このシリーズは、もともとノベルス化も文庫化も通常より倍も早かったわけだが、今回は映画のためにさらに早い。ノベルスや文庫が出ても、単行本が売れなくなることはない、という証明はできた。このシリーズの単行本は、文庫が出たあとに重版している。以前に書いたことがあるけれど、単行本、ノベルス、文庫を同時に出す、というのが個人的には最良と考えている。ただ、出版社にも事情があることだろうから、強くは主張しない。
 先日送った「銀河不動産」最終話のゲラが「別册文春」から到着。こちらはスバル氏がイラストを描くので、彼女がさきに読んでいる。今日は「スカイ・イクリプス」の第6話の短編を書き始めた。完成度10%。「クレィドゥ」のゲラもさっそく読んで10%まで。

 工作は3時間ほどできた。かなり満足。毎晩寝るまえに洋雑誌を眺めながら、今後のプロジェクトの構想を練るのだが、眠ってしまって、朝起きたらたいてい忘れている。それが、翌日寝るときにはまた思い出す。そうして、だんだんアイデアが具体的になり、実現可能なほど煮詰まってくるし、そういった段階になると、ようやく朝起きたときにも覚えている。それで、そのプロジェクトに関連する、資料や部品集めの段取りをしたりする。このように、ものごとには準備期間というものが必要だ。とにかく、時間をケチること、目前になって焦ることが最も悪い。品質を落とす原因のほとんどは時間不足である。そして、ここでいう「時間」とは、考えたり作業をするトータルの時間ではない。考え始めてから実行するまでの期間の長さである。ほかのことを同時進行していてもかまわない。とにかく、早く始めることが大事だと思う。
 締切間際になって体力を消耗したことを、努力した証拠のように言いたがる人がいるが、その種の時間は完成度とは無関係であって、単なる個人の趣味だ。神輿を担いでいるようなもので、好きでやっていることだから、「楽しそうだね」と言ってあげれば良い。しかし、仕事の完成度には絶対に結びつかない。
 「やる気」というものも、仕事の完成度には無関係である。それで良い仕事をする人間もときどきいるけれど、やがて「やる気」が消えてしまって駄目になる。これも、趣味だと思われる。社員を消耗品として扱う管理者は、「やる気」を社員に持たせて、その場限りのエネルギィを搾取しようとするだろう。たとえるならば、一種の覚醒剤のようなものだ。
 良い仕事をしたかったら、余裕が必要だし、やる気を出さなければ乗り切れない事態になる以前に手を打つべきである。

【図工】 手作りは何が良いのか

 「手作り」という言葉が良い意味を持ち始めたのは、いつ頃だったか。30年くらいまえだっただろうか。手作りと聞いただけで高品質なもの、と感じてしまう人が多いみたいだ。考えてみたら、根拠のない期待である。
 言葉は古い。江戸時代には、地主が自分のために耕作することだったらしい。また、陶器などを型を用いないで作ること、手で造形されたものも示す。「自分で作る」という意味で使われていた言葉で、人に売るために作ったものではない、というイメージが込められていた。「手料理」などもこれに近い。
 必ずしも手で触れて作る場合だけではない。道具や機械を使っている場合でも手作りというようだし、また、必ずしも大量生産しているものを除くわけでもない。ケーキ職人は一度に大量のケーキを手作りしている。境界は曖昧だ。
 また、機械で作ったものよりも人間が手で作ったものの方が品質が高い、という保障はまったくない。たとえば、「手作りの飛行機」や「手作りの鉄橋」を想像してみよう。ちょっと不安になるのでは? 手作りには「まごころ」が籠もっている、という付加価値はあるかもしれないけれど、「まごころの籠もったパソコン」は、発売されてもきっと売れないにちがいない。
 実は、手作りが有利な点はほとんどない。人件費がかかって高くなるし、ばらつきが大きくなり品質が安定しない。作る人間が交代すると同じものができなくなる。
 手作りの有利さとして、一つだけいえることは、作っているときにフィードバックがあることだ。作り手にそれを受け止める才能があれば、さらに良いものが作られる可能性が生まれる。したがって、手作りされた製品それ自体の価値というよりは、将来の製品への期待が持てる。

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