2008年01月11日(金曜日)

【HR】 オビと申請

 晴天で暖かい。夕方から雨になる。珍しく予報どおり。
 元日に来た妹G氏がお土産に持ってきたレーズンサンドと月餅が、一箱ずつある。前者は僕しか食べず、後者はスバル氏しか食べない。しかし、1日1つ食べていても、けっこう減ってくるものだ。いずれも残り少なくなった。

 午前中に小説の仕事。「銀河不動産」第8話は4000文字書いて終了。推敲は明日以降。「θ」文庫のゲラは80%まで見た。「日経パソコン」第56回の2校も終わり。
 昨夜、「森博嗣の道具箱」のカバーのデザイン案が届いた。今回僕が撮影した写真が表紙に使われることになったが、A案はその写真の一番良いところがオビで隠れる。B案は写真全体を上へずらしてオビに隠れないようにした案だった。どちらが良いかといえば、断然A案が良い。だから、「オビをやめてほしい」とお願いした。編集部や営業部で話し合われた結果、僕の要求が通った。非常に嬉しい。文庫でオビがない本を出すのは初めてのことだ。

 オビがあることで、日本の本のカバーデザインの8割は腑抜けになっている。単行本ならわかるが、いずれオビが取れ、長く書店に置かれる文庫まで、上に偏った馬鹿なカバーデザインなのだ。ちょっとデザインのわかる人が見れば、日本にはまともな装丁家はいないのか、と思うだろう。外国の本が格好良く見えるのもこの影響が大きい。事実、新刊を買わないから、オビのない文庫ばかり読んでいた僕は、ずっと「なんだ? このデザインは」と気分が悪かった。
 これほどまでオビが出版界で重要視されているなんて作家になるまで知らなかった。どんな本にもオビが絶対の必需品だなんて馬鹿なシステムになったのは何故なのか? 本を作る人は、ちょっと自問してほしい。絶対に間違っている。誤解のないように書いておくが、「オビを廃止しろ」といっているのではない。「オビを付けない選択ができるようにしてほしい」という意味だ。
 「オビをやめてほしい」という要求をして、初めてそれが受け入れられたのが、同じ中央公論新社の「スカイ・クロラ」(単行本)である。厳密にはないわけではない、透明カバーがオビなのだ。あれでもまだ僕は邪魔だと感じている。2月に発行されるこの「森博嗣の道具箱」は、単行本のとき(「森博嗣のTOOLBOX」)もオビがなかった。これ以外にオビなしの本はなく、今回の文庫が(同じ本で)2冊めになる。尊敬する平岡氏に解説をいただけたし、この本は僕にとっては大切な一冊になるだろう。

 午後は、8号機の蒸気機関車を工作台の上にのせて分解・整備をすることにした。大変なのは、そこまで持ち上げること。この機関車が一番軽いから、まだできる。自分の体力や健康も考え、機関車を持ち上げるリフト設備を整えたい、とスバル氏に今日ようやく切り出した。「やったら?」というありがたいお返事だった。
 区役所へ住民票と印鑑証明を取りにいった。1時間ほどの待ち時間。カウンタの中では職員が一所懸命働いている。公務員試験に合格した優秀な人たちが、資料を調べ、コピィを撮り、お金を受け取ったりするような作業をしているのだ。コンピュータ化すべきである。スバル氏にそう話したところ、「社保庁がそれで失敗したからねぇ」とおっしゃっていた。コメンテータとしては合格だと思うが、正論ではない。
 帰ってからも機関車。分解して整備したほか、一部配管を変更して、機能アップし、さらに運転がしやすいようにもしたい。この機関車は弁天ヶ丘線で最初に走った蒸気機関車だ。4年まえの年末年始にこれにトライしていた。そうか、たった4年しかキャリアがないのか。まだまだ初心者である。楽しみがこれからもっともっとあるだろう。

【理科】 コンクリート3

 生コン(固まるまえのコンクリート)を型枠の中に流し入れることを「打設(だせつ)する」あるいは「打ち込む」という。「流し込む」とか「注入する」とはいわない。かつては生コンが固かったので、棒で突いたり上から叩いたりして、ちょうどアスファルトみたいに締め固める作業をした名残だといわれている。
 昔は、生コンを軟らかく(流動性が高く)するためには、水を多くする必要があった。そうなると強度が落ちる。水を増したしゃぶしゃぶの生コンを「しゃぶコン」などと呼んで不良品扱いした。
 しかし、これは現在ではもう古い認識である。今のコンクリートは、微量の薬剤を混入して、生コン時の柔らかさを調整できるようになった。水を増やさず、つまり固まったあとの品質を落とさずに、軟らかい生コンが作れる時代になったのだ。
 コンクリート工事の多くは、ポンプを使って生コンを送る。高いところへも上げることができる。なんと、地上200mくらいまでも1機のポンプで上げた例があるくらいだ。高層ビルは、普通よりも強度の高い、すなわち水が少ないコンクリートを使わなければならないうえ、パイプで垂直に高所まで圧送できるような軟らかい生コンが必要になるが、この両立が可能になった。これらの技術が実用化したのはまだ最近(90年代)のことである。
 軟らかい生コンは品質が悪い、と思っている人がまだ多い(特に年輩の建築関係者に)。流動性の悪い生コンを使う方が、型枠の隅々までコンクリートが行き渡らず、むしろ欠陥となるため、この誤解を早く改めること。
 ちなみに、建築には「打ち放し」と呼ばれるコンクリート面を剥き出しにする仕上げがある。あれは経済的だと思っている人が多いが、これも間違い。打ち放しは、綺麗に作るために型枠や施工に高度な技術が必要で、むしろ大変シビアな工事になる。また、打ち放し仕上げの長所は特にない。耐久性など、短所は多々ある。あれを好んで採用するのは、単に「見た目が格好良い」とデザイナが思い込んでいるから、といっても良いだろう。そういう僕も、打ち放しが好きだが。

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