2007年12月14日(金曜日)

【国語】 中毒と禁断

 「私は活字中毒です」と自称する人が、この分野には多い。どちらかというと、あまり文字を読まない人の方が世間では大多数で、そういう人は、ときどきなにかの気まぐれで本を読もうとしても、ちょっと活字が目に飛び込んできただけで気持ちが悪くなったりする。こっちの方がむしろ「活字中毒」に相応しいような気もするがいかがか。いや、これは「急性活字中毒」かもしれない。あるいは、「活字あたり」といった方が良いか。
 「活字中毒」は、「アルコール中毒」や「ニコチン中毒」と同じようなイメージで使われているようだ。つまり、活字を摂取していないと落ち着かなくなる、という症状を訴えたいものと思われる。しかし、辞書によると、「中毒」というのは、「飲食物または薬物などの毒性によって生体の組織や機能が障害されること」とある。だから、やや意味がずれているような気がする。「活字依存症」の方が伝わるのではないか。活字を読まない人には、特に伝わりにくいと思う。たぶん、活字を読み過ぎて目が痛くなる症状のこと、くらいに想像されてしまうだろう。
 「禁断症状」などもよく使われるフレーズだ。つまり、「活字中毒」の人が、忙しくてなかなか本が読めないときに、禁断症状になるらしい。摂取を中断することで起こす症状のことだ。一方、「禁断の実」というときの「禁断」は、神様が禁じていた、との意であるけれど、転じて、「今までになかったほど魅惑的な」というイメージで使われている。つまり、神様が禁じていたのは「快楽」である、という信仰心の欠如した解釈だ。だから、「禁断症状」も「禁断の症状」というだけで、なんだか人知れず素晴らしい感じになってしまう。

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