2007年12月17日(月曜日)

【HR】 鉄道博物館と京極書斎

 朝、駅でN倉氏と待ち合わせ、大宮へ向かう。大宮駅は、なんだかすっかり綺麗になっていた。「埼玉県の県庁所在地って、大宮? それとも浦和? でも、最近、さいたま市っていうのもあるよね」なんて話しながら電車に乗っていた。周囲の人たちはいらいらしたことだろう。
 地元の井上氏と星野氏に会い、いきなり天丼をご馳走になった。ここで、プレゼントの交換会になる。それから、鉄道博物館へ直行。

 平日だというのに、来場者がいっぱい。賑わっている。鉄道模型のジオラマを見るために行列ができていた。そういうものは普段見慣れている我々なので、そちらに興味はない。古い機関車、電車などを見てまわる。普通では見られないような下回り(シャーシの内側)をじっくり観察した。しかし、方々で記念写真を撮りまくる4人組。館内では、食堂が大混雑だった。そうか、だから、天丼をさきに食べたのか。さすがに段取りが良いベテラン勢。おみやげ物売り場も混んでいて、なにも買わず。人気のシミュレータも長蛇の列だったけれど、見ることはできた。2時間ほど観覧し、まあこれくらいで良いかな、というところでお終いに。
 井上氏、星野氏とは大宮でお別れし、N倉氏と再び電車に乗った。

 午後3時頃、京極夏彦氏邸へ到着。京極氏とは10年ぶりだ。噂の書斎を一度拝見したかったのだが、なかなか機会もなく……。増え続けるものをどのように収納するのか、という悩みは誰しも同じだと思う。参考にさせてもらおう、と思って伺った。
 仕事場を見せてもらったわけだが、置いてあるものは全然違うものの、僕のガレージと非常に状態が似ている。特にデスク周りにあるディスプレィの配置なんか、そっくりだった。雑誌などで紹介されていたコーナではなく、デスク周り、それから全体のストラクチャ、そしてディテールが一番見たかったところ。種々理解した。

 そこで2時間ほど「スパイ大作戦」を見ながらお話をして、今度は丸の内ビルへ車で移動。京極氏は着物だから寒そうだけれど、寒さを感じない人らしいので、周囲が寒がるしかない。
 日本料理(創作系?)をいただきながらおしゃべりが続く。だいたいは、時代劇か西部劇か怪獣ものなどの話が多かったのでは。なかなかこういう方面で話が弾む人は少ない(年代が限られるし)。
 さらに店を移動して、カフェでおしゃべりが続く。驚くべきことに、けっこう仕事っぽい話もあった。結局、閉店の時間までいたので、お開きは11時。8時間しゃべりづめ。お疲れさまでした。感謝。
 本日から特別講義。講師は西尾維新氏です。2カ月もまえに原稿をいただいておりました。よろしくお願いします。

【図工】 小説工作

 みなさん、こんにちは。本日より5日間、特別講師を担当させていただく西尾維新です。以前よりこの教壇に立つ日を夢見ていましたので、こうしてその夢が実現し、とても嬉しく、また光栄に思います。
 とは言え、僕はまだまだ若輩者であり、人に何かを教えられるほどの人生経験を積んできてはおりません。そこで今回の特別講義では、僕の職業であるところの『小説家』について、語ることにしようかと思います。将来的に小説家になりたいというかたはもちろん、そうでないかたにも楽しんでいただけるような授業になるよう、頑張らせてもらいます。
 では始めましょう。
 1時間目はプレゼンも兼ねてということで、【図工】です。小説、あるいは小説家について語るならば、それは【国語】であるべきではないのかと思われるかもしれませんが、僕の考えでは、【国語】【算数】【理科】【社会】【体育】【音楽】【図工】の中では、【図工】にこそ、小説の執筆という作業は含まれるものです。それどころか、最近では【国語】こそ小説の執筆からもっとも遠い科目ではないのかとさえ思いますが……ここではとりあえず【図工】の話をしましょう。
 森先生の工作趣味は今や周知の事実ですが、先生の小説家としての高い能力はその工作趣味にこそ裏付けされているものだと僕は考えます。『作家』とはよく言ったもので、小説家とは、職人または芸術家としての側面をどうしても持たざるを得ません。では、一本の小説を工作(創作)する上で最低限必要なものは何でしょう。それはまず第一に語彙です。と言うか、語彙がなければ文字通り話になりません。逆に言えば、語彙さえあれば小説を作ることは可能です。語彙という材料を感性という工具で組み立てること。それが小説工作です。
 語彙の増やしかたについては、まあ国語辞典の通読が一番手っ取り早いですが、単純に読書量を増やすほうが身に付きやすいようです。
 もっとも、小説を書けることと小説家になることは、まったく別の話です。確実に小説家になれる方法は、まず存在しません。
 明日はそのあたりを。

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