2007年12月04日(火曜日)

【HR】 リアリティへの2つのアプローチ

 朝は雨だった。庭に夥しい落ち葉。楓はほとんど散ったようだ。午後から、バキュームで吸い取って、とりあえずゴミ袋4杯分は集めた。うちの庭は常緑樹が多いせいか、落ち葉の総量としては春が多い。秋は集中的に散るから目立つけれど、掃除をする分にはむしろ楽だ。成長期の組織から切り落とされる人員は多くても目立たないものだが、終焉を迎えた組織において首を切られる人たちは目立つし、やはり哀愁を誘う、という道理か。

 「日経パソコン」は文章だけまず発送。第54回のゲラ校正も終わり。「水柿君」最終話を書き始めた。まずは2000文字。当初書き下ろしのつもりだったが、「星星峡」で楽しみにしていて、本は文庫で買いたい、という読者数人からの要望があったので、今月下旬締切の「星星峡」に間に合わせ、掲載していただくことにした。「スカイ・クロラ」シリーズは、単行本とノベルスが5冊出揃ったが、文庫だけはまだ4冊しか出ていない。本来のペースでは来年の秋が「クレィドゥ・ザ・スカイ」文庫版の発行となるところだった。しかし、来年夏の映画の関係で早まり、4月に文庫を発行することに決まった。最近しばらくゲラを読んでいないが、そろそろまたいろいろ来そうな雰囲気。

 イギリスに発注してあった機関車のパーツが届いた。非常に早い。先日手こずった機関車のためのもの。再挑戦することになる。
 お昼頃、スバル氏と一緒に出かけて、1つ用事を済ませ、そのあとショッピングセンタへ。ペットショップで、パスカルに着せるトナカイ(羊かも)の着ぐるみをスバル氏が買った。1回写真を撮るだけのために、いつも何千円も出費するのはなかなかどうしてセレブだと思うな。パスカルは嫌な顔一つしていた。

 僕が下描きをしてスバル氏がペン入れをする、というイラストの仕事があるため、彼女の絵の描き方が、僕と違うのを思い知った。彼女は、とにかくサンプルを欲しがる。インターネットを調べたりして、実物がどんなふうかを参考にして絵を描くことが多い。僕は絵のために調べものをするようなことはまずない。
 たとえば、カメラのイラストを描く場合、彼女は実物のカメラを参考にする。しかし、そこにあるボタンや目盛りが何の意味なのかは考えない。僕は実物のカメラは見ない。しかし、写真を撮る機械ならば、ここにこんなボタンがあるはずだ、持ちやすいように、ここにグリップがあるはずだ、という具合に道理を考えて絵を描く。このアプローチの違いは世間のクリエータを二分するものではないか。つまり、前者は写実であり、後者は理屈なのである。

 小説を書くときも同じことがいえると思う。僕は、実際の場所や人物を取材するようなことはまずしない。ただ、たとえば、こういった機能を持つ建物なら、こんなふうでなければならないだろう、という設計を頭の中でしている。実物がどうなっているのかを知り、そのとおりに描くのがリアリティだとは考えていないのだ。もしかして世間では、実際にあるものを参考にすることが、すなわちリアリティだと考えている人が多いのかも。だから、リアリティのあるなしで話が噛み合わないのだな、と気づいた。僕の場合、現実に存在するものでも、リアリティがないと感じるものがあるくらいなのだ。
 少なくとも、漫画やイラストを描く人は、写実派の人が多いと思われる。僕が知っているイラストレータや漫画家はほとんどそちらだと観測される。もしかしたら、日本人の傾向かもしれないが。

【理科】 バルブ

 英語では、bulbとvalveと両方ある。真空管なんかどちらも使うが、日本語で「弁」という方は、valveである。
 これは、液体や気体の流れを調節する機構・装置の総称らしい。小学校のとき、水を汲み上げるポンプの仕組みを習ったが、そのときに初めて、弁が登場した。穴に薄い板が当ててあって、水が穴から入ってくるときは押されて開くが、水が出ていこうとすると、圧力で穴を閉じてしまう。つまり、一方通行にしか水を流さない仕組みだ。このほかにも、水道の蛇口のように開け閉めをするようなものもバルブだし、蓋がバネで押されていて、一定の圧力になったときはじめて開く安全弁のようなものもある。
 パイプで液体などを流すとき、一方通行にしか流さない弁が、いろいろな場面で必要になる。動物の血液は、心臓というポンプによって血管を流れているが、やはり逆方向には流れない弁の仕組みが存在する。身近なところでは、灯油を入れるハンド・ポンプにも(たぶん赤いプラスティックの)弁がある。
 バスタブの底にある穴を塞ぐ栓(せん)は、軽く置くだけで、水が満たされている場合には、吸いつくように穴に密着する。栓が吸い寄せられるとき、どんな角度でも確実に穴を蓋ぐためには、栓の形が球体であると都合が良い(風呂の場合は、球体だと邪魔になるが)。たとえば、トイレの貯水タンクの穴を塞ぐのは球体のゴムだ。一方通行にしか流さない弁(逆止弁といったりする)は、中に金属球があって、これが動いて口を塞ぐ機構のものが一般的である。ちょうど、ラムネのビー玉のように。

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