2007年11月13日(火曜日)

【体育】 大勢で見る

 若い頃はけっこう野球を見た。球場へ行ったことも少なくない。そもそもスポーツは、大勢が一箇所に集まって観戦するものだった。それが、TVが発展したおかげで、プライベートな場所で、ひっそり一人だけで楽しめるようになった。場所も時間も自由になったけれど、ここでなにかが欠落したことはまちがいない。
 音楽でも同じことがいえる。もともとは、王様でないかぎり、音楽は必ず大勢で聴くものだった。それが、録音技術の発展でプライベートなものになり、どこでも好きな音楽が自由に楽しめるようになった。しかし、やはりライブに足を運ばないと得られないものがあるはずだ。抜け落ちているものがある。
 臨場感という言葉で表されるものは、映像や音の質だけではない。場の雰囲気の大部分は、自分のほかにも同じことをしている(あるいは感じている)人間がいる、という感覚だ。同時であり、同所であるがゆえに感じやすい。この感覚は、たぶん人間が「群れ」をなそうとする習性に根づいているものだろう。見て、聴いて、感動している自分を、同じものを見て、聴いて感動しているだろう他人と比較して、確認したいのだ。一緒に楽しみ、一緒に笑いたい。
 この傾向は、インターネットでも随所に見られる。プライベートが基本の世界なのに、「一緒にいたい」気持ちがそこかしこに現れていて、掲示板やブログでも周囲を気にしている人たちが大勢観察できる。おそらく、20世紀後半のプライベートな文化の反動として、また群れをなしたい心理の再燃が今のムーブメントなのだろう。

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