2007年09月11日(火曜日)
【理科】 の相談 by 太田忠司
【質問】四十代自由業既婚の男性です。長年ずっと悩みつづけてきたことについてご相談いたします。
若い頃から極度の対人恐怖症に悩んでおります。その理由は他ならぬ、あのアルキメデスの原理にあります。
「液体中に入れられた物質はその物質によって押し退けられた液体の重量と同じだけの浮力を受ける」というのがアルキメデスの原理、は理解しております。ええ、理解はできるのです。
問題は、この原理を発見したアルキメデスの逸話のほうです。たしかどこかの国王が純金で作らせたはずの王冠に、こっそり銀が混ぜられていないかどうかを王冠を壊さないで調べろと命じられたアルキメデスが、風呂に入ったときに溢れ出した湯を見て「エウレカ!」と叫んで裸で走り回って……いや、そのような瑣末なエピソードも、どうでもいいのです。
アルキメデスが実験してみせたのは、王冠に使われたのと同じ重量の金塊を用意して、それぞれを水の中に入れ、あふれた水の量を計ったことでした。すると王冠のほうが溢れる水の量が多かった。それで王冠に銀が混ぜられていることを証明できた、というものでした。つまり金より比重の低い銀を混ぜて、総重量を元と同じにしたため、王冠のほうが体積が大きくなってしまったから、このような差が生じたわけ、ですよね。
でもこの逸話、浮力とどんな関係があるのでしょうか?
この実験で証明されたのは、両者の体積の差であって、比重の差ではないですよね。アルキメデスの原理を利用して不正を見つけたわけではないのではないでしょうか。
学校でこの話を聞いたとき、最初から疑問に思っていました。でも、誰も説明してくれませんでした。誰も疑問に思っていないようなのです。
以来、アルキメデスの原理のことを考えると頭が混乱してしまい「もしかしたら自分だけ頭が悪いのではないか」などと不安に陥ってしまうのです。そのせいで人間関係にも支障を生じております。もしも初対面のひとがいきなりアルキメデスの原理について意見を求めてきたらどうしよう、と考えるだけで対人恐怖に陥ってしまうのです。どうしたら良いのでしょうか?
【回答】アルキメデスのことは、忘れなさい。