2007年08月27日(月曜日)

【国語】 それほど

 最近、ちょくちょく見かける使い方だ。こんなふうである。「美味しいという噂を聞いて食べにいったが、それほどだった」
 もちろん、本来は「それほどでもなかった」と言っていたものであるが、省略されて短くなったらしい。否定文が消えたので、知らない人間が聞くと、「それほど」だったのなら、「噂どおり美味しかった」の意味だろうか、と逆に受け取る可能性は高い。そうではなく、「それほど」だけで、「それほどでもない」を表しているのである。会話だったら、通じるかもしれない。また、「それほど……、という感じだった」くらいの表現ならまだ通じる。
 こういった省略形の新語はどんどん出てくるし、やはり通じなくて広まらないものも多い。
 やや古いところでは、「なにげに」というのが広まった。「なにげなく」が本来だったのに、やはり否定の部分を省いて、意味はほぼそのままだった。不思議だ。
 また、ちょっとまえから、「微妙」という言葉が、否定的に使われている。「微妙だ」というのは、本来は、「美味しいか美味しくないか、微妙なところだ」というように使ったが、今は「微妙だ」といえば、「今ひとつ美味しくない」の意味で使われている。つまり、「微妙に〜ない」の後ろの否定文を省いたわけで、上記の例と同じかもしれない。「世界一か日本一か微妙な味」といった場合、どちらの意味に取られるだろう。
 さらに「とんでも」も、「ない」を省いて用いられたものが散見される。たとえば、「とんでも系」のような使い方である。これは、もともとは「途でもない」つまり「途方もない」の意味だった。とすると「途方も系」と言い換えられるだろうか。そのうち、「もったい系」なんてのも登場しそうである。

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