2007年04月27日(金曜日)

【国語】 何のために書くのか

 入試などで小論文の採点を何度か担当したことがある。だいたい主に3つのファクタで評価した。1)文章が正しく書けているか。2)正しい内容か、キーワードが挙げられているか。3)論理的な文章構成になっているか。1)は、基本的な学力であり、2)は学習による予備知識の有無、3)は論理立ての力を見る。
 しかし、本当はそのまえに最も重要なことがある。何を目指して書くか、だ。
 その文章の目的を最初に意識しなければならない。「それは良い点を取るためだ」というのが答かもしれないが、それだけでは漠然としている。たとえば、そのテストの競争率は何倍だろう? そこまで意識しなければならない。100人のうち90人が合格する試験と、100人から10人を選ぶ試験では、おのずと戦略が異なるはずだ。合格点を取れば良いのか、人にはない特徴をアピールしなければならないのか、という違いである。
 合格するための文章であれば、読み手を「そうそう、そのとおりだ」と頷かせれば良い。しかし、たとえば、文章でお金を稼ぐプロになりたいならば、それではまったく不足である。
 万人が納得する当たり前の意見を書くことよりも、「こいつの言っていることは、ちょっと変だ。しかし気になるから、また読んでみよう」と思わせる文章、だいたいは納得できるものの、一部だけ、「そうかな?」と反論したくなる文章、読んでいるだけで刺激的で、これまでになかった思考に触れられる文章、そんな「読みもの」こそがプロの仕事である。訴えたい意見、正しい見識、知識の披露が主目的ではない。
 ちなみに、世の中に一番数多く溢れかえっている文章とは、「僕はこんなに良い人ですよ」という趣旨のものだ。

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