2006年12月05日(火曜日)
【国語】 やばいとすごい
「やばい」は、ちゃんと広辞苑に載っている形容詞である。僕の辞書に出ている意味は、「不都合である。危険である。」の1つだけ。現在の若者のたぶん半分以上が、これとは異なる意味で使っているだろう。
わりと古くからある言葉らしい。しかし、漢字がないところをみると、俗語として生まれたものっぽい。「やば」というのが、「不都合なこと」「けしからぬこと」「奇怪なこと」で、東海道中膝栗毛からの例が引用されていた。それには、「やばなこと」とあって、形容動詞的に使われていたようだ。
若者が、「ねぇ、ちょっとやばくない?」と言えば、それは、「ねえ、ちょっと凄(すご)くない?」と同じ意味である。この「凄い」も、もともとは、「寒く身にこたえる」「ぞっとするほど恐ろしい」「非常にもの淋しい」という意味だったが、いつの間にか、反対の意味でも使われるようになって、「形容しがたいほど素晴らしい」「程度が並ではない」という意味でしかこの頃は聞かなくなった。
ようするに、「やばい」も「すごい」も単に強調する言葉になってしまった。考えてみると、「非常に」の「非常」だって、もともとは平常ではない、災難、事変を意味していたし、「とても」も、「どうせ」と同じで、本来は否定を伴う副詞だった(例:「私にはとてもできない」)。
「死ぬほど美味しい」みたいに、マイナス・イメージをあえて用い、語感の不思議さから得られるインパクトを強調表現に利用したものだ。だが、一旦世間に広まってしまうと、既に当初のインパクトは失われる。また、新たな表現が必要になって、そのうち生まれてくるのだろう。こんなことを真面目に考えるだけで、やばめで痛いが。