2006年07月10日(月曜日)

【HR】 ハウツー本

 よく寝た。スバル氏は早起きしてサッカーを観たようだ。
 午前中は、ガレージでガスバーナを使った工作。硫酸も使った。失敗を繰り返したが最後は成功した。成功を繰り返したが最後は失敗した、よりはだいぶ良い感じがする。世の中、勝率だけではない、ということか。

 金属をひっつける話を少し書こう。接着剤ではなかなかひっつきにくい。というのは単なる錯覚で、別にそれなりにひっつくのだが、そもそも金属は強い。その強さに見合った用途に使われるわけで、それだけの接着力が得られにくい、というだけのことだ。
 ハンダ付けを最初にやったのは、小学校4年生だった。これはラジオを作るため。火傷はその頃に1回だけした。それ以来していない。たぶん、これまでの人生でハンダゴテを20本くらい買ったと思う。今は5本くらい大小持っている。電気回路のほかに、真鍮の模型のキットを組み立てるときに使う。ハンダ付けは強度が弱く、力がかかるところには使えない。また、高温になるもの(たとえば蒸気機関車)にも使えない。
 溶接は電気を使ったものがこの頃では手軽になった。これは、大人になってから、まず大学の実験室で覚えた。今は自宅にも溶接機を持っている。20年まえは10万円以上したのに、今では1万円くらいなのだ。とにかく、電動工具はこの20年で10分の1の値段になった、といっても過言ではない。
 銀ロウ付けというのは、ガスバーナを使って行うもので、まだ始めて15年くらい。僕の技術としては一番新しい。ハンダ付けに似ているが、強度が非常に高い。ひっついたら、もう一体の金属になる。指輪などのアクセサリィなどの工作には欠かせない手法だろう。まだ下手である。
 切ることができて、ひっつけることができれば、もう自分でどんなものでも作ることができる。あとは、精度と労力の問題しかない。
 これらの工作手法について、僕はまず本を読む。人から直接教えてもらった、ということはひとつもなく、またそういう機会もこれまでになかった。書籍の情報が頼りなのだ。僕はすべて本から学んだ。この種のハウツー本は、良書が長く親しまれていて、同じ本で入門した人も多い。通常、4000円くらいもして高価だけれど、一生手もとに置くことになるだろう。子供のときには、図書館でそんな本ばかり探していた。何十年も読まれる、こういった本こそ、図書館は揃えるべきだろう。
 書店で見かけるのは、「サルでもできる〜」とか「バカでもわかる〜」などのハウツーものである。ようするに、サルやバカでもやらなければならないジャンルなのだろう。所詮、エクセルやワードはそんなものである。少なくとも、「サルでもできる鉄道模型」や「バカでもわかる旋盤工作」という本はありえない。やらされることがない。サルとバカはやらなくても良いジャンルだからだ。嫌々やらされているジャンルだけが、サルやバカをタイトルに冠するのではないか。

 夕方は風が出て涼しくなった。「野性時代」の連載「もえない」の5回目を1000文字ほど書いた。今週中に片づける予定。「日経パソコン」の第20回の2校が終わり。ダ・ヴィンチのI子氏が、「カクレカラクリ」のゲラを取りにきてくれた。今のところ、この本は8月25日発行の予定。そろそろ、「モリログ3」のゲラも作るとのこと。文春からは「少し変わった子あります」の2校が届いた。明日から見る予定。

【理科】 スケール効果

 同じ形のままで拡大したり縮小したりしても、同等の機能を果たすことは難しい。相似形であっても、サイズの違いによってさまざまな差異が生じる。こういった現象をスケール効果と呼ぶことがある。
 たとえば、蟻を大きくして、象くらいの大きさにしたら、脚が折れてしまうだろう。歩くことさえできないはずだ。蟻は、自分の背丈の100倍の高さから落下しても死なないだろうが、大きい動物ではそんな強靱なものはいない。
 ガリレオの言葉に、「ものは大きくなるほど相対的に弱くなる」という言葉がある。この主原因は、重量が3乗で増すのに対して、断面積が2乗でしか増えないためであるが、それ以外にも、大きくなるほど、均質な材料を作りにくい、という技術的な問題もある。細くて強い糸やワイヤは作れても、同じ強度でそれを太くしたものは簡単には作れない。
 一方では、縮尺できない境界条件の影響を受ける場合がある。
 たとえば、飛行機や船を同じ形で小さくしても、その周囲にある空気や水は同じ物体なので、それらの流れ方は実物とは違うものになる。建物の縮尺模型を使って、気流の実験をしても、それは本もののとおりにはならない。模型飛行機の場合、重量/翼面積=翼面荷重が同一であれば、サイズが大きくなるほど楽に飛べるようになる。ただし、大きくなるほど、今度は強度が出しにくくなるが。
 氷を割って進む砕氷船の模型実験を行うときには、シャーベットのような柔らかい氷を使わないと、実物どおりの動作を再現できない。またあるときは、時間を早めたり、逆に遅くしたりして、スケール効果を相殺する例も多い。
 ゴジラがビルを破壊するシーンを撮影するとき、ビルを実物と同じコンクリートで造ったら、ああは壊れないだろう。ビスケットみたいな弱いもので作り、しかも、スローモーションで見なければ、リアルには見えない。 

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