2006年06月20日(火曜日)
【算数】 森算
こんにちは、清涼院です。まずは、簡単な復習から始めましょう。
実は、昨日の国語の授業には、やや問題のある表現がありました。意図的に忍ばせてみたのですが、お気づきになられましたか?(今から読み返していただいても構いません)
正解を言ってしまうと、冒頭あたりの「熱心なファン」というところです。
Fanという英単語は「熱狂的なマニア」を意味するFanaticの略語ですから、Fanそのものに「熱心な愛好者」の意味があるわけです。なので、「熱心なファン」というのは「頭痛が痛い」や「上を見上げる」に似た、森博嗣先生もこのAcademyで触れられていた重複表現となってしまうのです。 絶対にダメだというわけではありませんけれど、誤用と思われやすいので、こだわりがあるのでもない限り、重複表現は使わないほうがいいでしょう。
算数の授業にはふさわしくない話のようですが、実は、関係します。上記のような言葉のチェックを徹底するのは、正確さが求められる作業です。そうした 作業の精密さにおいて、森先生の「文がCool」な作品は、とても優れています(だからCoolなのです)。数字に強い人は、単なる印象よりも事実としてのデータを重視するものです。それが、論理的な思考と、正確な伝達につながります。算数と国語は、あながち無関係でもないのです。
出版界では、作品の分量を把握する上で、20字×20行の400字詰め原稿用紙の枚数で数えるという尺度が、今でも機能しています。400マスをぜんぶ文字だけで埋めても、小説の章の終わりなどで「た。」2文字だけで終わっていても、同じ1枚として数えるわけです。
こうした慣習に関係なく原稿の分量を純粋に文字数で表したのは、ぼくの知る限り、日本の出版界では森先生が初めてです(ただ、英語圏では昔から小説を文字数で表します)。
16万文字の小説は、原稿用紙に換算すると、何枚でしょう? 16万文字÷400(文字/枚)=400枚と答えた人は、間違いです。小説には必ず、行頭行末の空きや、ページの途中で文が終わったことによる余白があります。16万文字が原稿用紙500枚以上にもなるのが、現実の算数なのです。
ぼくは森先生に対して、ふだんは親しみを込めて「森さん」と呼んでいます。その一方で、現実の算数を正確に解き明かす森先生の論理を、勝手に「森算」と名づけてもいます。「森さん」の「森算」は本当に参考になるので、今後も目が離せません。