2005年12月06日(火曜日)
【理科】 破壊試験
材料には強度という性質がある。どれくらいの力まで耐えられるか、つまり、どれくらいの力が加わると破壊するか、ということ。これを知るためには、力を少しずつかけていき、材料を破壊してみれば良い。
ところが、ジレンマがある。破壊してしまったものが、元には戻らないという現象だ。破壊とは、つまり、そういう性格のものなので、これはしかたがない。作り直せば良いのだが、作り直すと、もうさきほどとは強度が異なる材料になっていることが普通だ。
となると、どうすれば良いだろう。これは、人類が長年悩んできた課題である。一番簡単な方法は、だいたいどれくらいで壊れるかを知ったのち、それにはとうてい及ばない小さな力の範囲でその材料を使用する、という考え方である。たとえば、その材料を壊してみて、強度を調べる。同じ材料ならば、それとほぼ同じであろうという仮定の下で、その強度の半分くらいまでなら安全だろう、といった控えめの設計をする。
近年になって、工業の発達とともに、大量生産が可能になり、品質が安定した製品を作れるようになった。だから、一部のサンプルを破壊試験して、すべての製品の強度を大まかに保証できるようになったといえる。それでもやはり、長期的にはなにがあるかわからない。材料が劣化するかもしれない。だから相変わらず、本来持っている強度の2分の1か、3分の1くらいの力しか普段は作用しない、といった条件で設計することが一般的である。
ところが、今でも大量生産されない工業製品もある。代表的なものは、土木や建築の構造物で、これは個々に設計され、ほどんど単品しか生産されない。となると、その構造物がどれだけの強度を持っているのかは、破壊試験で確かめることは事実上不可能となる。こういった場合には、部分的な実験、模型実験、あるいは計算を駆使して、おおよそを推定する以外にない。もちろん、ここでも、大きな安全率が導入され、余裕のある設計がされる。