2005年11月19日(土曜日)

【理科】 鉄と炭素

 親父からもらった日本刀(鑑定書によれば、室町時代末期のものらしい)を昨日、戦国マニアとして名高い講談社のK木氏に見せた。僕自身は、それを抜くのは20年ぶりくらいだった。錆びているのではないかと想像していたが、曇りもなく錆もなく綺麗だ。刀は古いものほど錆びない、といわれているが、それは、錆びないから今まで残っている、という意味でもある。
 鉄の強度は、炭素の含有量によって大きく左右される。製鉄の過程で、炭素量をコントロールする。炭素量を増やせば、高強度の鋼になるが、しかし高強度なものほど脆く、欠けやすくなる。つまり、ガラスみたいなもので、硬いが割れやすい性質になる(ちなみにガラスは鉄よりも硬い)。逆に、炭素量を減らすと、強度は低いが軟らかく粘り強い鋼になる。
 日本刀は、一本の刃の中で、周囲と芯に異なる鉄を用い、硬いけれどしなやかな性状を求めようとした、いわばハイブリッド構造だ。炭火にかざして叩く工程で、炭素が含まれ、経験的に強度をコントロールする技術が生まれたものと思われる。
 建物などで用いられる鋼材のほとんどは、炭素の含有量が低く、軟らかい鉄(文字通り軟鋼という)である。加工性が良く(とくに溶接ができる)、また変形したとき、破断するまでに沢山伸びるのが軟鋼の特徴。

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