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2004年10月05日
第二十六回 SPECISL
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-- 投稿作品 --
福澤徹三氏が選んだ読者投稿作品
『わかりません』 高橋史絵(横須賀市)
市内の中学校の代用教員をしています。代用教員ですから、去年は、A中学校、今年はB中学校と、いろいろな中学校で教えるんですけど、その中の一校で、あった出来事です。
その中学校のコンピューター教室には、教師用パソコン1台と生徒用パソコンが40台ありました。その生徒用パソコンの中に1台、時々、電源が勝手に入ってしまうものがあったんです。コンピューター教室を、よく使う先生達の間では、結構有名な話でした。業者さんにも、何度かみてもらったようですけど、異常はないと言われたそうです。わたし自身は、生徒が電源を切り忘れたんだろうな、くらいにしか、思ってなかったんですけどね。
ある日、授業が終わって、生徒が全員、コンピューター教室から出て行った後に、残って、片付け物をしてたんです。そうしたらね、生徒用パソコンが1台、電源が入ったままになっているのに気が付いたんです。これが、例のパソコンかなぁって思ったら、ちょっと悪戯心が起きちゃって。自分の教師用パソコンから、その生徒用パソコンにメールを送ってみたんです。
「なにか、わからないところがありますか?」って。
そうしたら、すぐにメールが返ってきたんです。
「帰るところ が わかりません」って。
福澤徹三氏が投稿作品を読む!! 文・福澤徹三
怪談之怪レギュラーではない私が突然お邪魔して恐縮です。ともあれ編集部の依頼ですので、僭越ながらご投稿いただいた作品を読ませていただきました。
拝見した24作品のなかでは、塩入一樹さんの「偽証」、高橋智子さんの「手紙」、木村亜希さんの「修学旅行」、奥村明子さんの「白い門」、河合浩之さんの「たくわん小僧」、森部佐和子さんの「陽炎」、高橋史絵さんの「わかりません」が印象に残りました。
以下に簡単な感想を述べさせていただきます。まず「偽証」ですが、偽刑事というのは都市伝説でもありがちな話なので、もうひとひねり欲しいところです。次の「手紙」は文通相手のストーカー的な狂気を描いたものですが、これも作家の実体験などでよく耳にするタイプの話です。どちらの作品も、ラストをもっと派手な展開にしてもいいのではないでしょうか。
「修学旅行」は小学校の修学旅行をテーマにした幻想的な作品。ずいぶん書き慣れていらっしゃる雰囲気で完成度は高いと思います。が、段落や行間で語りの「間」をもっと表現して欲しい気がしました。「白い門」は保険外交員が怪異に巻きこまれる話。もうすこし情景を書きこむことで怖さが増すように感じます。また1行空きの多用はかえって文章のリズムを削いでいる気がします。「たくわん小僧」は大学時代の下宿を舞台にした、奇妙な味わいのある作品です。ただ沢庵を齧る音(と断定するのも気になりますが)=「たくわん小僧」というのは、やや飛躍があるように思えます。「陽炎」は少年時の悪夢にも似た回想を描いた力作ですが、内容からするともっと短くていいと思います。
最終的に選ばせていただいた「わかりません」は、ほのぼのしているような、それでいて怖いようなラストに惹かれました。自然な語り口調もいい雰囲気を出しています。
今回みなさんの作品をはじめて拝見して、全体の水準は極めて高いと感じました。しかし欲をいえば、作中のどこかに読者の意表を突くなにかが欲しいと思います。怪談はストーリーの整合性を求めるものではありませんから、いったん書き終えたあとでも恐怖や不条理感を増す工夫は充分にできるはずです。たとえば造りあげた物語を、いかに自分でさえ意外な方向に壊すか。そのへんを愉しんでいただけると、さらに作品に磨きがかかってくるように思えます。
怪談を書いてみたいけれど、イマイチ書き方が分からないという方。未来の怪談作家を目指している方。創作スキルアップに参加しませんか? 応募をお待ちしています。400字詰め原稿用紙3枚までにあなたの思う「怪談」を創作ください。書式は問いません。タイトル20字まで。投稿作品は返却いたしませんので、ご了承願います。締め切りは毎月30日消印有効。メールでの応募も歓迎いたします。ご自身の連絡先(住所、氏名、連絡先、メールアドレス)を明記ください。
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投稿者 davinci : 2004年10月05日 10:56