« OSK日本歌劇団を愛する全ての人へ…… | メイン | 常に新しいモノに挑戦し続ける »
2004年12月06日
人と街の「変」を載せるミニコミ『人間観察』

「人間観察」という言葉をヤフーで検索すると5万件のヒットがあります。人はみんな人の行動に興味があるのでしょう。
ミニコミ『人間観察』はそんな興味ある他人の行動を発表し、また人から面白い観察記録を集めようとして始めたミニコミです。ところが、いざこのテーマでミニコミを作ろうとすると案外難しいことに気がつきました。原稿は集まらないし、友人から「お前は人をよく観察している」といわれてしまう自分でも面白いものが書けない。
結局、面白いものを探して取材し、載せる今の形に落ち着きました。過去には公園の比較調査(1号)や表参道で観察をしたり(4号)、ナンパされている女の子にインタビューしたり(3号)しています。山手線に何周も乗って観察したり(2号)、電車内で化粧している人を追いかけ次にどこに行くのかを調べたり(5号)もしました。
現在の最新の第7号ではバナナの皮を仕掛けて(地面に置いて)人がどんな行動をとるかを100人、観察して結果を報告しています。12月半ばに出す8号ではその延長で10円玉を置いて様子を見たり、泉を見つけるとどのくらいの人がいくらのコインを投げ入れるか?などいくつか100人、観察し報告する予定。また、ここのところ投稿も多くなったのでそれも載せます。いつかは厚い雑誌にしたいのでまだまだ投稿を大募集中です。
とりあえず興味を持った方、東京・中野のタコシェ、神保町の書肆アクセス、新宿の模索舎で売っています。また、12月30日(木曜日)にはコミケにも出展します。「東地区オ-30a」です。

究極の反面教師!

『せんせいになれません』1〜3巻
小坂俊史 竹書房 バンブーC 各620円
池田と河田はダメ教師である。その杜撰な実態がPTAに知られれば即クビがとぶ問題教師である。遅刻・早退・欠勤当たり前、挙句に校庭の池でブラックバスを釣るわ教科書に漫画を挟んで授業するわ保健室で麻雀三昧だわ……お目付役のベテラン教師・藤田の苦労は絶えない。持病のぎっくり腰も悪化してしまいそう。だが二人を反面教師にした生徒たちが仕事をほどよく手抜きしてなまぬる〜く生きるコツを日々学んでいるのもたしか。
池田と河田が西の台小学校の6年生に人生の師として仰がれる日もそう遠くない……はずだ。たぶん。
まさみ●東京都在住の20歳、専門学校生。「眼鏡の男性が好き。今日も素敵眼鏡との出会いを求めてページをめくります。『ドロヘドロ』の心先輩と『蒼穹の昴』の岡記者が最近のヒット」
![]()

井出真由美●茨城県在住の19歳、学生。
「大学の書籍部では1割引で本が買えるのが嬉しい。でも肝心の読む時間がない……」
![]()
大人の女性になりたいあなたのために

『妹たちへの贈り物』
光野 桃 集英社文庫 440円
初めてこの本を手に取った時、『妹たちへの贈り物』というタイトルから、若い女の子たちに送るメッセージ本のように思った。でも、途中から妹たちに読者は限られていないし、限られるべきでもないと感じた。
この本は洋服やメイク、ジュエリーについて主に書かれているが、実は人について書かれているような気がする。人の生きざまについて。光野さんの生き方、イタリア女性へのあこがれ、若い頃のコンプレックスからの克服、それに何より服に向きあう時の彼女の真摯な姿勢からも、それは読み取れると思う。
このエッセイは、大人の女性へと向かうためのヒントを与えてくれると思う。だからこそ、すべての年代の女性に読んでほしい一冊である。
巻末の江國香織さんの解説もおすすめである。
ミニドラ●北海道在住の21歳、フリーター。「図書券をいただいたら以前から欲しかった『向田邦子の青春』を買います!」

事実は想像よりも奇なり

『へんないきもの』
早川いくを/著 寺西 晃/イラスト
バジリコ 1575円
事実は小説より奇なりという言葉がある。けれど、実際に小説より奇妙な現実に遭遇することなんて滅多にないわけで、その言葉の真偽を疑っている方も多いんじゃないかと思う。そんな疑いを台風一過の如く晴らしてくれるのがこの『へんないきもの』である。
タイトルからやる気のなさがしみでているような気がするが、そのなかから出てくるわ出てくるわ、タタリ神も裸足で逃げ出すような奇妙キテレツ意味不明な魑魅魍魎のオンパレードである。
どれだけ切り刻んでもしっかり再生するプラナリアやら、3時間なにも食べなかったら死んじゃうネズミ(実はモグラ)やら、空飛ぶイカやら、どれもこれもなんか多かったり、大きかったり、細かったり、太かったり、飛んだり飲み込んだり増えてみたりウネウネ蠢いてみたりするのである。おまけに全て地球上に実在するというではないか!
なんだか宇宙人もいるような気がしてくる。こんなのがいるほうが科学的に言えば不自然じゃあなかじゃろか? ツチノコのほうがまだ現実味がある気がする。
もう小説なんて逆立ちしたって追いつかない。脳の許容範囲を鼻歌まじりで飛び越えていく現実がここにある。
いま一番続編をつくってほしい本である。
重松龍大●福岡県在住の18歳、書店アルバイト。「江戸川乱歩賞の賞金が1000万円だということを最近知った。まだ間に合うぞ!」
![]()

オガタミナコ●広島県在住の大学生。「最近本が増えすぎて置き場所にこまってます……」
![]()
友達と私をつなぐ奇妙な習慣

『ゴーストハント』1〜8巻
いなだ詩穂/画 小野不由美/原作
講談なかよしKC 各410円
卒業しても漫画の貸し借りをしているというのは普通のことだけど、郵送で貸し借りをしているのは私と友人ぐらいだと思う。
小野不由美の悪霊シリーズを漫画化したいなだ詩穂の『ゴーストハント』、短大生のとき私が貸したのがきっかけです。そんなことしなくてもと言われたりするけど、お互いめんどくさがりでメールもあまりしません。だから年に一回の発売が年に一回の近況報告、本のためならペンを取り手紙も書くのです。
今年もそろそろ出るころ、彼女は元気にしてるかな?
きっこ●静岡県在住の23歳、主婦。「だんなに掲載されることを報告したけど、本を読まない彼にはイマイチ感動が伝わらなかったようで……。本を読み出すように改造しなければ」

心休まる向田流生活術

『向田邦子 暮しの愉しみ』
向田邦子、向田和子 新潮社 1470円
『父の詫び状』などの作品を読み、勝手に向田家に親近感を持っていた私にとっては、その生活をより詳しく知ることができる嬉しい一冊。
向田家の毎日の食事、好みの器や絵、服などについて、向田邦子のエッセイと妹・和子の回想で綴られている。
たとえば器について、脈絡なく集めたものが幼い日自分が使っていたものに似ていると気づいた、と書いている。幼い頃から積み重ねてきた暮らしがその人の好みや癖になり、考え方に影響を与え、生き方につながる。彼女が毎日の暮らしを大切にし、周りの人や仕事を愛し、感謝していたことが、じんと伝わってくる。
濃やかで潔い向田邦子の生き方に憧れる。まずは「ままや」のレシピを参考に向田家の味に挑戦したい。
中嶋乃扶子●兵庫県在住の29歳、会社員。「図書券3000円で江國香織『間宮兄弟』と、最近こっているお菓子作りの本を買います! ありがとうございました」
![]()
私と短歌の出会い

『サラダ記念日』俵 万智
河出文庫BUNGEI Collection 462円
最近、徐々に人気の高まる歌集。私が初めて歌集を手にしたのは中学生の頃だった。
そもそも私が短歌と出会ったのは、国語の教科書の中だった。一目見て、たった三十一文字に切り取られた想いの魅力に引き込まれてしまった。今では短歌は私にとって、なくてはならない「一生のもの」となっている。
最初に私を短歌の世界に魅了したのは、歌人の俵万智さんだ。
「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日
この誰もが一度は耳にしたことのある歌に、私は何とも言い難い衝撃を受けた。無意識に私の目に飛び込んできて、その日から頭の中で何度も繰り返され、ついには離れなくなってしまった。日常生活の何気ない一言でも、好きになった人に言われると、その言葉は宝物へと変化する。「サラダ記念日」は恋人たちの記念日の一つだ。
そして、歌集『サラダ記念日』を図書館で借りたのを覚えている。俵万智さんの生み出す三十一文字には、私の言いたいことを代弁してくれる力がある。失恋を歌っても湿っぽさがなく、愛を歌ったら軽やかさがある。
その後も、様々な歌集を読むようになった。もしあのとき、あの歌に出会っていなかったら、今の私はいなかったかもしれない。
まこと●香川県在住の19歳、予備校生。「本屋ではまず短歌雑誌をチェック。誰にでも楽しめるので興味のない人にも読んでもらいたい! 本屋は私の憩いの場所です」

ウルシバラとムラバヤシ

『リレキショ』
中村 航 河出書房新社 1365円
この話にはウルシバラという独創的なとてもいいラブレターを書く少し変わった女の子が出てきます。
この子のことを読んでいたらムラバヤシという女の子のことを思いだした。要因は2つ。「ウルシバラ」と「ムラバヤシ」が音的に近いものを感じさせるのと、二人とも自分の世界と外の世界との連絡が不器用だったから。
ぼくは10年ぐらい前京都に住んでいて、ローソンでバイトをしていた。いつからムラバヤシがローソンで働き始めたかは憶えていないが、ぼくより少し後に入ってきたのは確か。
とにかく接客がだめだめで、「いらっしゃいませー」とは言わず、無言。お釣りを渡すときも片手で「ふん」って。あるときなんかおじさんに「なんだおまえは! 親を連れてこい!」って怒鳴られたことがあるぐらい。親の顔が見たくなる接客って、ある意味すごい。
ムラバヤシはでかけるときに自分の部屋に鍵をかけない。女の子一人暮らしのワンルームマンションのなのに。
「鍵をかけないのは習慣がないから」
一人暮らしを始めたばかりのぼくは慣れない戸締まりとかガスの元栓とかを過剰に気にしていたのに、こんなやつもいるのか! すげえっ! 無意味に感心したのでした。
あるときバイトの女の子周辺に恋愛問題特有のざわざわ感が漂っていた。どうやらムラバヤシの恋愛問題。遊ばれて落ち込んでるのだそう。ショックでした、ムラバヤシともあろうものがそんな月並みな悩みを抱えてしまうことに。もっと超然としていてほしかった。
自分の世界と外の世界の間の連絡をなにも考えずにスムーズにできる人もいれば、外の世界にむかって少しだけ開いてる隙間からなんとか連絡をとろうとおずおずと手を出してる人もいる。ウルシバラもムラバヤシも後者なのは間違いがなく、そういう人をぼくは嫌いじゃない。
村上ともき●東京都在住。31歳、ベーシスト。「2年前カナダに行ったまま姿を消していた幼なじみと再会。なつかしさにかまけて毎日ビールを飲みまくり、正体を失う」
投稿者 davinci_orange : 2004年12月06日 15:08